工藤 彩さん

前を向いて病気と付き合っていく秘訣、
それは自分の拠りどころになる“武器”を持つこと

やわらかな笑顔が印象的な工藤彩さん。多発性硬化症(以下、MS)の治療を続けながらジュエリーショップの店頭に立ち、女性雑誌の読者モデルとしても活躍しています。SNSでは、工藤さんらしい病気との向き合い方を発信。同じ多発性硬化症のフォロワーさんに元気を送っています。

最初は、左目が見えづらくなり病院に行きましたが、病名がはっきりせず、その3年後にMSと診断されました。今は、疲労感や倦怠感が主な症状で、再発すると右の腕と足に痛みや麻痺が現れます。幸いなことに、働いているジュエリーショップでは、私のそういった体調の変化に配慮してくださるので、接客の仕事を楽しくできています。

実は、過去に MSであることを理由に、突然、勤務先から退職を促されたことがあったんです……。健康な方にこの病気を理解してもらうことの難しさを痛感しました。そうした経験から、MSについて広く知ってもらおうと、読者モデルの活動やSNSを通じて、日々の暮らしや病気の症状を発信するようになりました。体調が良いときにお出かけしたり、ファッション誌の読者モデルをしたりしている様子をアップしたところ、思いがけず、同じMS患者さんから、「元気をもらいました」「私も行ってみます!」といったうれしいコメントをいただいて。私の発信が同じ病気の人を勇気づけられるんだと、自信を持てました。また、私にとっても、再発してきついときに、その辛さをSNSでつながった方々と共感しあえるので心が楽になります。

もちろん、今でも「なぜこんな病気なの?」と落ち込むことがあります。そんなとき、私に力をくれるのは、“心の武器”です。ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、「これがあるから私はきっと大丈夫!」と思える、いわば拠りどころのようなもの。
私の武器のひとつは、アロマセラピー。今はアロマインストラクターの資格取得が目標です。将来は、小児病棟などにいる子どもたち向けにアロマにまつわる教室を開いたり、動物が好きなのでワンちゃんを癒すペットアロマのお仕事などもしてみたいですね。
そしてもうひとつの武器は、根っからのディズニーファンであること! ディズニーランドに行ってショーを見たり、大好きなキャラクターに会ったりすると、病気のことを忘れてしまいます。こうした拠りどころになる“武器”があれは、再発して治療を受けているときも、また前向きに頑張れる。私はそう信じています。

撮影:国分真央 MAO KOKUBU
フォトグラファー。東京都出身。広告、PR、CDジャケット、書籍表紙など、
Instagramを中心に幅広く活躍中。