- DEVOTE試験のパートBとCにおいて、ヌシネルセンの高用量レジメン(50/28㎎)が既治療・未治療いずれの患者さんにも臨床的なベネフィットがあることを支持する結果
- 検証中のニューロフィラメントによる測定で、高用量レジメンは神経変性をより速やかに抑制することを示す結果
- バイオジェンは世界各国でヌシネルセンの高用量レジメンについて承認申請を提出する予定
米国マサチューセッツ州ケンブリッジ: 2024年10月8日: Biogen Inc. (Nasdaq: BIIB) は本日、脊髄性筋萎縮症(SMA)に対するヌシネルセンの高用量レジメンの有効性と安全性を評価するDEVOTE試験の第II/III相試験のパートBとCにおける詳細データを発表し、乳児型・乳児型以外のいずれのタイプのSMAにおいても、ヌシネルセン治療未治療・既治療に関わらずいずれの患者さんにも有益な結果が示されたことを公表しました。本試験でのヌシネルセン(スピンラザ🄬)の高用量投与レジメンは、承認済みのヌシネルセン投与レジメンと比較して、より迅速な初期投与レジメン(50mgを14日間隔で2回投与)と、より高用量の維持投与レジメン(4ヵ月ごとに28mg投与)で構成されています。
世界筋学会 (World Muscle Society: WMS) 2024年大会 (2024年10月8-12日、プラハ) で発表されたデータは、検証中の高用量レジメンが、SMAの既存の治療選択肢でも依然満たされない医療ニーズに応える可能性を示唆しています。
ジョンズ・ホプキンス・メディスンの筋ジストロフィー協会クリニックの共同ディレクターであるトーマス・クロウフォード(Thomas Crawford)医学博士は次のように述べています。「際立っていたのは、高用量レジメンはニューロフィラメントをより速やかに低下させ、神経変性をより迅速に抑制していることが示唆されたことです。これはSMAの方々にとって非常に重要であると考えます。経過を追うことで、高用量レジメンのベネフィットを示すエビデンスがSMAのタイプによらず認められることでしょう。投与量が大きく増やされているのにも関わらず、高用量レジメンは承認済みの12mgレジメンと一貫した安全性プロファイルを示しました」。
DEVOTE試験は3つのパートで構成されており、様々な年齢や異なるタイプのSMAを有する145名の参加者が登録されました。中心となるPart Bのコホート(n=75)は、乳幼児期にSMAを発症した未治療の小児で構成され、フィラデルフィア子ども病院‐神経筋疾患乳幼児テスト(CHOP-INTEND)の変化について、ヌシネルセンの高用量レジメンによる治療群は、臨床第III相ENDEAR試験参加者のうち同条件のシャム対照群(非治療群)と比較し、主要評価項目を達成しました(+15.1 vs -11.1, P<0.0001)。
高用量レジメンとシャム群との比較に加えて、群間に有意な差を検出するには十分な検出力はないものの、承認済みの12mgレジメンとの比較分析も実施されました。比較的小さな試験規模にも関わらず、副次評価では高用量レジメンがシャム群に対し全ての項目において、また12mgレジメンに対してもほぼ全ての項目において一貫して優位な傾向を示しました。
詳細は下記のとおりです。
- 神経変性のマーカーである血漿ニューロフィラメント軽鎖(NfL)に関し、ベースラインから183日目までに高用量レジメンは94%の減少を示したのに対し、シャム対照群では30%の減少でした (p<0.0001)。さらに高用量レジメンではより速やかなNfLの減少が示され、12mgレジメンと比較して64日目においてより大きな減少が示されました(p=0.0050) 。
- 302日目において、高用量レジメンはCHOP-INTENDで19.6ポイントの改善を示した一方、12mgレジメンでは21.6ポイントの改善を示しました (最小二乗平均差:-1.94; p=0.8484)。また、302日目において、高用量レジメンはハマースミス乳幼児神経学的検査セクション2(HINE-2)において、12mg投与レジメンと比較して平均値の改善を示しました(最小二乗平均差:0.58; p=0.1734)。
- 高用量レジメンは死亡または永続的人工呼吸器装着に至るリスクを、シャム群と比較して67.8%減少させ(HR: 0.322; 名目上のp値=0.0006) 、12mgレジメンと比較して29.9%減少させました(HR: 0.701; p=0.2775)。同様の傾向は全生存率や、入院や重篤な呼吸障害といった他の重要イベントにおいても示されました。
- パートBの乳児型以外のコホートにおいては、高用量レジメンの参加者(n=16)は、運動機能評価において数値的により大きな改善を達成しました。例えば拡大ハマースミス運動機能評価スケール(HFMSE)や、上肢モジュール改訂版 (RULM)において、302日目でのDEVOTE試験の12mgレジメン群(n=8)、あるいはCHERISH試験における279日目での12mg投与群(n=32)およびシャム対照群(n=16)と比較して数値的により高い改善を達成しました。
DEVOTE試験のパートC(n=40)からの初期結果も発表されました。このパートでは、年齢4歳から65歳の幅広い被験者が、承認済みの12 mgレジメンで中央値3.9年投与された後、高用量レジメン(50 mgの単回投与後、28 mg維持投与レジメン)に移行しました。移行後に運動機能が改善し、ベースラインから302日目の平均変化量はHFMSEで1.8ポイント、RULMで1.2ポイントでした。
DEVOTE試験のすべてのパートにおいて、高用量レジメンの忍容性は概ね良好であり、承認済みの12 mgレジメンと同様の安全性プロファイルを示しました。12 mgレジメンで最も高頻度に発現した有害事象は、呼吸器感染、発熱、便秘、頭痛、嘔吐および背部痛でした。DEVOTE試験における有害事象の発現頻度は、ヌシネルセン投与群間で同程度でした。治験中止および死亡に至った有害事象はパートBの未治療コホートのみで認められ、有害事象の件数は50/28 mg投与群、12 mg投与群および対応するシャム群でそれぞれ20%(10件)、24%(6件)および55%(11件)でした。
Cure SMAの代表であるケネス・ホビー氏は次のように述べています。「過去10年間、SMA患者さんの生活改善には大きな進展がみられたものの、依然ギャップが残っており、私たちはコミュニティ内のあらゆるアンメットニーズと目標に対しまだまだ多くのことができると信じています。DEVOTE試験の結果は有望であり、SMAとともに生きるすべての人々の日常生活や活動に影響を与える運動機能をより向上させるという、さらなる意味ある前進の可能性を示しています」。
バイオジェンは、ヌシネルセンの高用量50/28 mgレジメンに関する承認申請を世界各国の規制当局に提出する予定です。ヌシネルセンは現在、71ヵ国以上でスピンラザの製品名により、承認用量12 mgで使用されています。
DEVOTE試験について
DEVOTE試験は臨床第II/III相無作為化用量漸増対照試験で、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬として現在承認されているレジメン(12 mg)より高用量(50 mg/28 mg)のヌシネルセン投与の安全性、忍容性、薬物動態、およびより高い有効性の可能性を評価するものです。本試験は世界中の約42施設で様々な年齢や異なるタイプのSMAの患者145人を組み入れました。DEVOTE試験はオープンラベルの安全性評価コホート(Part A)、二重盲検実薬対照無作為化治療コホート(Part B)、および現在承認されているスピンラザの用量から本試験で評価されている高用量レジメンに移行した参加者のその後の安全性と忍容性を評価するためのオープンラベル治療コホート(Part C)で構成されています。
パートBは、中心となる乳児期発症型コホート(n=75)と、小児期発症型(乳児型以外)コホートで構成されています。パートBの主要評価項目は、CHOP-INTENDのベースラインから6ヵ月時点までの変化量を測定し、ヌシネルセンの高用量レジメンを第III相ENDEAR試験の対応するシャム対照群と比較しました。ENDEAR試験は、スピンラザ ® 12 mgの規制当局による承認の根拠となった重要な2試験のうちの1試験です。
パートCは、スピンラザ 12 mgから50/28 mgに移行した小児及び成人(40例)を評価した高用量レジメンの非盲検試験です。
DEVOTE試験(NCT04089566)に関する詳細は、clinicaltrials.govをご覧ください。
スピンラザ®について
スピンラザは脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳幼児、小児および成人の治療薬として世界71カ国以上で承認されています。SMAの基盤となる治療として、全世界で14,000人以上がスピンラザの治療を受けています。1
スピンラザは体内で生成される完全長Survival Motor Neuron (SMN)タンパクの量を継続的に増やすことで、運動ニューロン喪失の根本原因を標的にするアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASO)です。2 SMAの発症部位に到達できるよう、スピンラザは運動ニューロンが存在する中枢神経系に直接投与されます。2
スピンラザは、最長10年間治療を受けた参加者データ3,4と他に類のないリアルワールドの経験に基づき、十分に確立された安全性プロファイルを有し、様々な年齢や異なるタイプのSMAに持続した有効性を示してきました。ヌシネルセンの臨床開発プログラムには、2つの無作為化対照試験(ENDEAR試験およびCHERISH試験)を含む、幅広い患者集団にわたる460人以上の参加者を組み入れた10本以上の臨床試験があります。オープンラベルのNURTURE延長試験はスピンラザの長期的な影響を評価しています。臨床試験で最も多く観察された有害事象は、呼吸器感染症、発熱、便秘、頭痛、嘔吐、腰痛でした。いくつかのASO薬投与後には腎毒性や急性で重篤な血小板数減少を含む血液凝固異常が観察されていますが、それらは臨床検査によりモニターすることができます。
バイオジェンは、スピンラザを開発・製造・製品化するためのグローバルな権利を、アイオニス・ファーマシューティカルズ社(NASDAQ略称IONS)から供与されています。
バイオジェンについて
1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。
バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体X, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。
- Based on commercial patients, early access patients, and clinical trial participants through December 31, 2022.
- SPINRAZA U.S. Prescribing Information. Available at:
https://www.spinraza.com/content/dam/commercial/specialty/spinraza/caregiver/en_us/pdf/spinraza-prescribing-information.pdf. Accessed: September 2024. - Core Data sheet, Version 13, October 2021. SPINRAZA. Biogen Inc, Cambridge, MA.
- Finkle et al. Cure SMA 2024. “Final Safety and Efficacy Data From the SHINE Study in Participants With Infantile-Onset and Later-Onset SMA.”