本資料は、米バイオジェン社が 2024年9月4日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

バイオジェン、ヌシネルセンの高用量レジメンについて、ポジティブなトップライン結果を発表
SMA治療への大きなベネフィットを示唆

  • ポジティブな試験結果はヌシネルセンの高用量レジメンがSMA治療を前進させる可能性を示唆;バイオジェンは本試験における投与レジメンの承認申請を予定
  • ヌシネルセンの高用量レジメンは事前に規定された同条件のシャム対照群と比較して統計学的に有意な改善を示した
  • 臨床的有効性の複数の主要指標において、高用量レジメンは既承認の投与レジメンと比較してポジティブな傾向を示した

米国マサチューセッツ州ケンブリッジ: 2024年9月4日: バイオジェン(NASDAQ略称BIIB)は、脊髄性筋萎縮症(SMA)の症状を有する未治療の乳幼児に対するヌシネルセンの高用量レジメンの安全性と有効性を評価する臨床第II/III相DEVOTE試験における、中心的コホート(Part B)のポジティブなトップラインデータを発表しました。本試験でのヌシネルセンの高用量投与レジメンは、承認済みのヌシネルセン投与レジメン(スピンラザ)と比較して、より迅速な初期投与レジメン(50mgを14日間隔で2回投与)と、より高用量の維持療法レジメン(4ヵ月ごとに28mg投与)で構成されています。
本試験は、高用量レジメンの投与を受けた乳幼児の運動機能が、ENDEAR試験参加者のうち事前に規定された同条件のシャム対照群(非治療群)と比較して統計学的に有意な改善を示して6ヵ月での主要評価項目を達成しました。

バイオジェンで神経筋領域の開発ユニットを率いるステファニー・フラディット薬学博士は次のように述べています。「SMAの治療パラダイムは目覚ましい進展が見られる一方で、多大なアンメットニーズも存在したままです。過去10年間に確立され十分に特徴付けられたスピンラザのプロファイルに基づいて、私たちは安全性へのコミットメントを維持しつつ、有効性の結果を最大化する可能性を引き続き模索してまいります。DEVOTE試験の心強いトップライン結果は、既承認の用量と比較して64日後のニューロフィラメント値の減少量が大きいことから示されるように、高用量レジメンがより速く神経変性を抑制することを示唆しています。時間の経過とともに、高用量レジメンはSMAの症状を有する乳幼児に意義のある臨床的ベネフィットをもたらしました。私たちは詳細な結果をSMAコミュニティや規制当局と共有することを楽しみにしています」。

DEVOTE試験は3つのパートで構成されており、様々な年齢や異なるタイプのSMAを有する145人の参加者を登録しました。中心となるPart Bのコホートは、乳幼児期にSMAを発症した未治療の小児(n=75)で構成され、ヌシネルセンの高用量レジメンによる治療群と、既承認の12 mgレジメン(4回の負荷投与の後、4カ月ごとの維持投与)による治療群とに2対1の割合で無作為に割り付けられました。Part Bの主要評価項目は、フィラデルフィア子ども病院‐神経筋疾患乳幼児テスト(CHOP-INTEND)の6ヵ月後のベースラインからの変化について、ヌシネルセンの高用量レジメンによる治療群と、臨床第III相ENDEAR試験参加者のうち同条件のシャム対照群とを比較しました。ENDEAR試験はスピンラザ® 12 mgの薬事承認の根拠となった2つのピボタル試験の1つです。

高用量コホートは、6ヵ月後のベースラインからのCHOP-INTENDの変化という主要評価項目において、同条件の対照群に対して統計学的に有意な改善を示しました(最小2乗平均差: 26.19; p<0.0001)。複数の副次的評価項目においてもシャム対照群と比較して高用量レジメンが良好な結果を示し、また主要なバイオマーカーおよび有効性の複数の指標においても、高用量レジメンが現在承認されている12 mgの投与レジメンに対して優越な傾向を示しました。高用量レジメンは概して忍容性が高く、報告された有害事象はSMAおよびヌシネルセンの既知の安全性プロファイルと総じて一貫していました。重篤な有害事象の割合は12 mg群(72%; 18/25例)と比較して高用量レジメン(60%; 30/50例)でより低くなりました。DEVOTE試験のより詳細な結果は今後の学会で発表されます。

DEVOTE試験 (NCT04089566) についてのさらなる情報は clinicaltrials.gov に掲載されています。ヌシネルセンは現在スピンラザ®の製品名で販売されており、米国食品医薬品局に承認された用量は12 mgです。

DEVOTE試験について
DEVOTE試験は臨床第II/III相無作為化用量漸増対照試験で、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬として現在承認されているレジメン(12 mg)より高用量(50 mg/28 mg)のヌシネルセン投与の安全性、忍容性、薬物動態、およびより高い有効性の可能性を評価するものです。本試験は世界中の約42施設で様々な年齢や異なるタイプのSMAの患者145人を組み入れました。DEVOTE試験はオープンラベルの安全性評価コホート(Part A)、二重盲検実薬対照無作為化治療コホート(Part B)、および現在承認されているスピンラザの用量から本試験で評価されている高用量レジメンに移行した参加者のその後の安全性と忍容性を評価するためのオープンラベル治療コホート(Part C)で構成されています。Part Bは中心的なコホートである乳幼児期発症コホートと、小児期発症コホートから構成されています。

スピンラザ®について
スピンラザは脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳幼児、小児および成人の治療薬として世界71カ国以上で承認されています。SMAの基盤となる治療として、全世界で14,000人以上がスピンラザの治療を受けています。1

スピンラザは体内で生成される完全長Survival Motor Neuron (SMN)タンパクの量を継続的に増やすことで、運動ニューロン喪失の根本原因を標的にするアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASO)です。2 SMAの発症部位に到達できるよう、スピンラザは運動ニューロンが存在する中枢神経系に直接投与されます。2

スピンラザは、最長10年間治療を受けた参加者データ3,4と他に類のないリアルワールドの経験に基づき、十分に確立された安全性プロファイルを有し、様々な年齢や異なるタイプのSMAに持続した有効性を示してきました。ヌシネルセンの臨床開発プログラムには、2つの無作為化対照試験(ENDEAR試験およびCHERISH試験)を含む、幅広い患者集団にわたる460人以上の参加者を組み入れた10本以上の臨床試験があります。オープンラベルのNURTURE延長試験はスピンラザの長期的な影響を評価しています。臨床試験で最も多く観察された有害事象は、呼吸器感染症、発熱、便秘、頭痛、嘔吐、腰痛でした。いくつかのASO薬投与後には腎毒性や急性で重篤な血小板数減少を含む血液凝固異常が観察されていますが、それらは臨床検査によりモニターすることができます。

バイオジェンは、スピンラザを開発・製造・製品化するためのグローバルな権利を、アイオニス・ファーマシューティカルズ社(NASDAQ略称IONS)から供与されています。


バイオジェンについて
1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。
バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体XLinkedIn, FacebookYouTubeをご覧ください。

参考文献
  1. Based on commercial patients, early access patients, and clinical trial participants through December 31, 2022. 
  2. SPINRAZA U.S. Prescribing Information. Available at:
    https://www.spinraza.com/content/dam/commercial/specialty/spinraza/caregiver/en_us/pdf/spinraza-prescribing-information.pdf. Accessed: July 2024.
  3. Core Data sheet, Version 13, October 2021. SPINRAZA. Biogen Inc, Cambridge, MA.
  4. Finkle et al. Cure SMA 2024. “Final Safety and Efficacy Data From the SHINE Study in Participants With Infantile-Onset and Later-Onset SMA “
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