本資料は、米バイオジェン社が 2023年1月6日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

LEQEMBI™(レカネマブ)、アルツハイマー病に対する治療薬として米国FDAより迅速承認を取得

  • 本迅速承認はLEQEMBI™投与により脳内アミロイドβプラークの減少を示した早期ADを対象とした臨床第Ⅱ相試験のデータに基づく
  • LEQEMBIによる治療は、臨床試験と同様、ADによる軽度認知障害または軽度認知症の患者において開始することが必要

    エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク(Nasdaq:BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO: クリストファー A. ヴィ―バッハ―、以下 バイオジェン)は、本日、米国食品医薬品局(FDA)が可溶性(プロトフィブリル*)および不溶性アミロイドβ(Aβ)凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体レカネマブ(一般名、米国ブランド名:LEQEMBI™ 注射100 mg/mL溶液、以下 LEQEMBI)について、アルツハイマー病(AD)の治療薬として、迅速承認したことをお知らせします。本承認は、LEQEMBIがADの特徴である脳内に蓄積したAβプラークの減少効果を示した臨床第Ⅱ相試験(201試験)の結果に基づくものです。エーザイは、最近発表した大規模なグローバル臨床第Ⅲ相検証試験であるClarity AD試験のデータを用い、フル承認に向けた生物製剤承認一部変更申請(sBLA)をFDAに対して速やかに行います。

適応症
    今回承認されたLEQEMBIの適応症は、アルツハイマー病の治療です。LEQEMBIによる治療は、臨床試験と同様、ADによる軽度認知障害または軽度認知症の患者において開始する必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性のデータはありません。本適応症は、LEQEMBIの治療により観察されたAβプラークの減少に基づき、迅速承認の下で承認されており、検証試験により臨床的有用性を確認することが本迅速承認の要件となっています。

用法・用量(対象者・投与方法・ARIAのモニタリング)
    LEQEMBIの用法・用量として、治療開始前にAβ病理が確認された患者に対して、10㎎/kgを推奨用量として2週間に1回点滴静注します。LEQEMBIによる治療の最初の14週間は、アミロイド関連画像異常(ARIA)について特に注意深く患者の様子を観察することが推奨されます。LEQEMBIの投与開始前に、ベースライン時(直近1年以内)の脳MRI、および投与後のMRIによる定期的なモニタリング(5回目、7回目、14回目の投与前)が行われます。

副作用
    LEQEMBIの安全性は、201試験においてLEQEMBIを少なくとも1回投与された763人の被験者で評価されています。LEQEMBI 10 mg/kgを隔週投与された被験者(N=161)の少なくとも5%に報告され、プラセボ投与被験者(N=245)より少なくとも2%高い発生率であった主な副作用は、Infusion Reaction(LEQEMBI:20%、プラセボ:3%)、頭痛(LEQEMBI:14%、プラセボ:10%)、ARIA-E(LEQEMBI:10%、プラセボ:1%)、咳(LEQEMBI:9%、プラセボ:5%)および下痢(LEQEMBI:8%、プラセボ: 5%)でした。LEQEMBIの投与中止に至った最も多い副作用はInfusion Reactionであり、LEQEMBI投与群は2%(161人中4人)に対して、プラセボ投与群は1%(245人中2人)でした。

抗血栓薬との併用と脳内出血の他の危険因子について
    201試験において、ベースラインで抗凝固薬を使用していた被験者を除外しました。アスピリンやクロピドグレルなどの抗血小板薬の使用は許可されました。抗血栓薬(アスピリン、その他の抗血小板薬、抗凝固薬)の併用に関して、LEQEMBIと抗血栓薬の併用投与群は、プラセボと抗血栓薬の投与群と比較して、ARIA-Hの発症リスクの増加は認められませんでした。使用された抗血栓薬の多くはアスピリンであり、他の抗血小板薬や抗凝固薬の使用は限られており、これらの薬剤の併用時におけるARIAや脳内出血のリスクは結論づけられていません。LEQEMBI投与中に直径1cmを超える脳内出血が観察された症例が報告されており、LEQEMBI投与中の抗血栓薬または血栓溶解薬(組織プラスミノーゲンアクチベーターなど)の投与には注意が必要です。
    さらに、脳内出血の危険因子として、201試験においては以下の基準により被験者登録を除外しています。直径1cmを超える脳出血の既往、4個を超える微小出血、脳表ヘモジデリン沈着症、血管性浮腫、脳挫傷、動脈瘤、血管奇形、感染病変、多発性ラクナ梗塞または大血管支配領域の脳卒中、重度の小血管疾患または白質疾患。これらの危険因子を持つ患者へのLEQEMBIの使用を検討する際には注意が必要です。

    エーザイのCEOである内藤晴夫は「LEQEMBIのFDAによる迅速承認は、エーザイの40年にわたるAD研究の重要な1ページであり、AD当事者様とそのご家族が抱える憂慮の解消をめざす当社の継続的な取り組みの成果です。当社はAD当事者様と、支えるご家族が直面する問題や懸念を理解することに努めており、この様々な憂慮を軽減する新しい治療選択肢としてLEQEMBIをお届けできることを大変嬉しく思います。ADは当事者様の医学的な問題やご家族の介護負担だけでなく、生産性の低下、社会的コストや不安の増大など、社会全体に影響を及ぼす問題です。このたびの迅速承認取得を受けて、我々は医療従事者への適正使用情報の提供に注力します。また、当社は様々な支払者との連携や支援プログラムの提供により必要とする人々へのLEQEMBIのアクセスが可能となるよう最善を尽くすとともに、より多くの当事者様に貢献すべく、速やかなフル承認申請の達成に向けて全力で取り組みます」と述べています。

    バイオジェンの社長兼CEOであるクリストファー A. ヴィ―バッハ―は「LEQEMBIの承認は、ADの患者さんに新たな希望を与えるものです。早期ADの患者さんやその介護者は、医師と共にに新しい治療法を検討することができます。私たちは、この治療法の恩恵を受ける可能性のある患者さんにLEQEMBIをできるだけ早く提供できるよう、エーザイと共に注力しています。今回の承認は、ADという非常に複雑な疾患に対する治療法を見つけるために、長年にわたり忍耐強く、粘り強く取り組んできた多くの科学者や医師の努力が認められたものです。エーザイとバイオジェンは、ADに苦しむ人々の生活の改善に繋がる研究を進めるために、ほぼ10年にわたり協力してきました。私たちは、引き続きADとの闘いに強くコミットしていきます」と述べています。

LEQEMBIのアクセスとAD当事者様を支援する取り組みについて
    米国においては、当事者様と介護者の皆様に対して様々な支援を行うための「Eisai Patient Support Program」を用意しています。専任のナビゲーターが、当事者様やご家族と直接連携し、対象となる当事者様に治療や保険適用に関するナビゲーションを行い、保険適用、自己負担額、当事者様が利用できるアクセスプログラムなどのサポートを行います。詳しくはLEQEMBI.comをご覧いただくか、電話:1-833-453-7362(月~金、東部時間午前8時~午後8時)またはファックス(1-833-770-7017)にてお問い合わせください。
    また、経済的な理由でLEQEMBIにアクセスができない方を支援するために「Eisai’s Patient Assistance Program」を開設し、自己負担上限(メディギャップ)のないメディケア受給者や保険未加入の当事者様で、経済的支援の必要性などのプログラム対象基準を満たす方には、LEQEMBIを無償で提供します。

    また、エーザイは、この新規治療法であるLEQEMBIを適格な当事者様が利用できるように、CMS(Centers for Medicare and Medicaid)、TRICARE**、米国退役軍人保険局***、民間医療保険会社などの様々な支払者と引き続き建設的な議論をしていきます。現在、Medicareに加入している当事者様はLEQEMBIによる治療を受けることができませんが、医療従事者によって早期ADと診断され、脳内にアミロイドプラークの蓄積が確認されたMedicaid単独受給者は、各州のプロセスに応じて、迅速承認後のMedicaidプログラムの下でLEQEMBIによる治療を受けることができます。

    エーザイは、実臨床におけるARIAの管理とモニタリングについて、ADヘルスケアコミュニティに対する多面的な教育イニシアチブを開発しています。このイニシアチブ「Understanding ARIA™」は、受講者同士によるトレーニング、個人およびグループトレーニング、専門家による症例検討などの教材とプログラムを提供します。このイニシアチブは、医療用画像分野の専門家、主要な専門学会との協力のもと実施する予定です。最初の教材は2023年1月から利用可能となる予定です。

    LEQEMBIは2023年1月23日の週までに新発売する予定です。LEQEMBIの米国における価格と設定根拠については、本日ニュースリリースとしてステートメントを発表しています。

    LEQEMBIについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

* プロトフィブリルは、75-500Kdの可溶性Aβ凝集体です1,2
** TRICAREは、米国軍兵士と退役軍人、およびその家族のための医療プログラムです。
*** 米国退役軍人保険局は、米国最大の統合医療システムで、171の医療センターと1,113の外来診療施設(VHA外来診療所)を含む1,298の医療施設を運営し、毎年900万人の登録退役軍人に医療サービスを提供しています。

米国における適応症および重要な安全性情報
適応症

LEQEMBIの適応症はアルツハイマー病(AD)の治療であり、LEQEMBIによる治療は、臨床試験と同様、ADによる軽度認知障害または軽度認知症の患者において開始すること。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性に関するデータはない。本適応症は、LEQEMBIの治療により観察されたAβプラークの減少に基づき、迅速承認の下で承認されており、臨床的有用性の確認するための検証試験データが本迅速承認の要件である。

重要な安全情報
警告・注意事項
アミロイド関連画像異常(ARIA)

  • LEQEMBIはアミロイド関連画像異常(ARIA)として、脳磁気共鳴画像(MRI)で観察されるARIA浮腫/滲出液貯留(ARIA-E)、あるいはARIA脳表ヘモジデリン沈着(ARIA-H)として微小出血、脳表ヘモジデリン沈着症を引き起こす可能性がある。ARIAは通常無症候であるが、まれに痙攣、てんかん重積状態など、生命を脅かす重篤な事象が発生することがある。ARIAに関連する症状として、頭痛、錯乱、視覚障害、めまい、吐き気、歩行障害などが報告されている。また、局所的な神経障害が起こることもある。ARIAに関連する症状は、通常、時間の経過とともに消失する。
     

ARIAのモニタリングと投与管理のガイドライン

  • LEQEMBIによる治療を開始する前に、直近1年以内のMRIを入手すること。5回目、7回目、14回目の投与前にMRIを撮影すること。
  • ARIA-EおよびARIA-Hを発現した患者における投与の推奨は、臨床症状および画像判定による重症度によって異なる。ARIAの重症度に応じて、LEQEMBIの投与を継続するか、一時的に中断するか、あるいは中止するかは、臨床的に判断すること。
  • ARIAの大半はLEQEMBIによる治療開始後14週間以内にみられることから、この期間は特に注意深く患者の状態を観察することが推奨される。ARIAを示唆する症状がみられた場合は臨床評価を行い、必要に応じてMRIを実施すること。MRIでARIAが観察された場合、投与を継続する前に慎重な臨床評価を行うこと。
  • 症候性ARIA-E、もしくは無症候でも画像判定によって重度のARIA-Eとされた場合に投与を継続した経験はない。無症候でも画像判定によって軽度から中等度のARIA-Eとされた場合に投与を継続した症例に関する経験は限られている。ARIA-Eの再発症例への投与データは限られている。
     

ARIAの発現率

  • 201試験において、LEQEMBI投与群の3%(5/161例)に症候性ARIAが発現した。ARIAに伴う臨床症状は、観察期間中に80%の患者で消失した。
  • 無症候性ARIAを含めると、ARIAの発現率はLEQEMBI投与群の12%(20/161例)、プラセボ投与群の5%(13/245例)であった。ARIA-Eは、LEQEMBI投与群の10%(16/161例)、プラセボ投与群の1%(2/245例)で観察された。ARIA-Hは、LEQEMBI投与群の6%(10/161例)、プラセボ投与群の5%(12/245例)で観察された。プラセボと比較して、LEQEMBI投与によるARIA-Hのみの発現率の増加は認められなかった。
  • 直径1cmを超える脳内出血は、LEQEMBI投与群の1名で報告されたが、プラセボ投与群では報告されなかった。他の試験では、LEQEMBIの投与を受けた患者において、致死的事象を含む脳内出血の発生が報告された。
     

アポリポ蛋白質Eε4(ApoE ε4)保有ステータスとARIAのリスク

  • 201試験において、LEQEMBI投与群の6%(10/161例)がApoE ε4ホモ接合体保有者、24%(39/161例)がヘテロ接合体保有者、70%(112/161例)が非保有者であった。
  • LEQEMBI投与群において、ApoEε4ホモ接合体保有者はヘテロ接合体保有者および非保有者よりも高いARIAの発現率を示した。LEQEMBIを投与された患者で症候性ARIAを発症した5人のうち4人はApoEε4ホモ接合体保有者であり、うち2人は重度の症状が認められた。LEQEMBI投与を受けた被験者で、ApoEε4ホモ接合体保有者ではApoEε4ヘテロ接合体保有者や非保有者と比較して症候性ARIAおよびARIAの発現率が高いことが、他の試験でも報告されている。
  • ARIAの管理に関する推奨事項は、ApoE ε4保有者と非保有者で異ならない。
  • LEQEMBIによる治療開始を決定する際に、ARIA発症リスクを知らせるためにApoE ε4ステータスの検査が考慮される。
     

画像による所見

  • 画像による判定では、ARIA-Eの多くは治療初期(最初の7回投与以内)に発現したが、ARIAはいつでも発現し、複数回発現する可能性がある。LEQEMBI投与によるARIA-Eの画像判定による重症度は、軽度4%(7/161例)、中等度4%(7/161例)、重度1%(2/161例)であった。ARIA-Eは画像による検出後、12週までに62%、21週までに81%、全体で94%の患者で消失した。LEQEMBI投与によるARIA-H微小出血の画像判定の重症度は、軽度4%(7/161例)、重度1%(2/161人)であった。ARIA-Hの患者10人のうち1人は軽度の脳表ヘモジデリン沈着症を有していた。
     

抗血栓薬との併用と脳内出血の他の危険因子について

  • 201試験では、ベースラインで抗凝固薬を使用していた被験者を除外した。アスピリンやクロピドグレルなどの抗血小板薬の使用は許可された。また、臨床試験中に併発事象の処置のため4週間以内の抗凝固薬を使用する場合は、LEQEMBIの投与を一時的に中断した。
  • 抗血栓薬を使用した被験者はほとんどがアスピリンであり、他の抗血小板薬や抗凝固薬の使用経験は限られており、これらの薬剤の併用時におけるARIAや脳内出血のリスクに関しては結論づけられていない。LEQEMBI投与中に直径1cmを超える脳内出血が観察された症例が報告されており、LEQEMBI投与中の抗血栓薬または血栓溶解薬(組織プラスミノーゲンアクチベーターなど)の投与には注意が必要である。
  • さらに、脳内出血の危険因子として、201試験においては以下の基準により被験者登録を除外している。直径1cmを超える脳出血の既往、4個を超える微小出血、脳表ヘモジデリン沈着症、血管性浮腫、脳挫傷、動脈瘤、血管奇形、感染病変、多発性ラクナ梗塞または大血管支配領域の脳卒中、重度の小血管疾患または白質疾患。これらの危険因子を持つ患者へのLEQEMBIの使用を検討する際には注意が必要である。

Infusion reaction

  • LEQEMBIのInfusion reactionは、LEQEMBI投与群で20%(32/161例)、プラセボ投与群で3%(8/245例)に認められ、LEQEMBI投与群の多く(88%、28/32例)は最初の投与で発生した。Infusion reactionの重症度は軽度(56%)または中等度(44%)だった。LEQEMBI投与患者の2%(4/161例)において、Infusion reactionにより投与が中止された。Infusion reactionの症状には、発熱、インフルエンザ様症状(悪寒、全身の痛み、ふるえ、関節痛)、吐き気、嘔吐、低血圧、高血圧、酸素欠乏症がある。
  • 初回投与後、一過性のリンパ球数の減少(0.9 x109/L未満)がプラセボ投与群の2%に対して、LEQEMBI投与群の38%に認められ、一過性の好中球数の増加(7.9 x109/Lを超える)はプラセボ投与群の1%に対して、LEQEMBI投与群の22%で認められた。
  • Infusion reactionが発現した場合には、注入速度を下げ、あるいは注入を中止し、適切な処置を開始する。また次回以降の投与前に、抗ヒスタミン薬、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、副腎皮質ステロイドによる予防的投与が検討される場合がある。

副作用

  • 201試験において、プラセボ投与群の6%に対して、LEQEMBI投与群の15%が副作用により投与を中止した。LEQEMBIの投与中止に至った最も多い副作用は、Infusion reactionであり、LEQEMBI投与群の2%(4/161例)に対して、プラセボ投与群は1%(2/245例)だった。
  • 201試験において、LEQEMBI投与群(N=161)の少なくとも5%に報告され、プラセボ投与群(N=245)より少なくとも2%高い発生率であった主な副作用は、Infusion reaction(LEQEMBI:20%、プラセボ:3%)、頭痛(LEQEMBI:14%、プラセボ:10%)、ARIA-E(LEQEMBI: 10%、プラセボ:1%)、咳(LEQEMBI:9%、プラセボ:5%)および下痢(LEQEMBI:8%、プラセボ:5%)だった。
     

米国における添付文書はこちらから入手できます。

以上

参考資料

1.LEQEMBI(一般名レカネマブ)について
       LEQEMBIは、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体です。米国におけるLEQEMBIの適応症はアルツハイマー病(AD)の治療です。本適応症は、LEQEMBIで治療された当事者様で観察されたAβプラークの減少に基づき、迅速承認で承認されています。検証試験により臨床的有用性を確認することが本迅速承認の要件となっています。

       LEQEMBIは、BioArctic AB(本社:スウェーデン、以下 バイオアークティック)とエーザイの共同研究から得られました。2022 年 12 月に中国の国家薬品監督管理局に BLA のデータ提出を開始しました 。2022年度中の日本、欧州における販売承認申請をめざしています。

       2020年7月から、臨床症状は正常で、ADのより早期ステージにあたる脳内Aβ蓄積が境界域レベルおよび陽性レベルのプレクリニカルADを対象とした臨床第Ⅲ相試験(AHEAD 3-45試験)を米国のADおよび関連する認知症の学術的臨床試験のための基盤を提供するAlzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)とのパブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)で行っています。ACTCは、National Institutes of Health、National Institute on Agingによる資金提供を受けています。
       また、2022年1月から、セントルイス・ワシントン大学医学部(米国ミズーリ州セントルイス)が主導する優性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(Dominantly Inherited Alzheimer Network Trials Unit、以下 DIAN-TU)が実施する優性遺伝アルツハイマー病(DIAD)に対する臨床試験(Tau NexGen試験)が進行中です。本試験において、レカネマブは抗Aβ療法による基礎療法として選定されました。レカネマブの皮下注射によるバイオアベイラビリティ試験は終了し、Clarity AD試験OLEにおいて皮下投与の評価が進行中です。

2.アミロイド関連画像異常(ARIA)について
       アミロイド関連画像異常(ARIA)は、アミロイドをターゲットとする治療法の重要な有害事象であり、通常、時間の経過とともに減少する脳内の一時的な浮腫/浸出(ARIA-E)として最も一般的に見られます。一部の人々は、浮腫とともに脳の表面上あるいはやや内側に小さな出血の斑点(ARIA-H)ができることもあります。ARIA-Eを発現した人の多くは無症候ですが、頭痛、錯乱、めまい、視力の変化、吐き気などの症状が現れる人もいます。

3.エーザイとバイオジェンによるAD領域の提携について
       エーザイとバイオジェンは、AD治療剤の共同開発・共同販売に関する提携を2014年から行っています。レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

4.エーザイとバイオアークティックによるAD領域の提携について
       2005年以来、エーザイとバイオアークティックはAD治療薬の開発と商業化に関して長期的な協力関係を築いてきました。エーザイは、レカネマブについて、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるADを対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を取得しています。2015年5月にレカネマブのバックアップ抗体の開発・商業化契約を締結しました。

5.エーザイ株式会社について
       エーザイ株式会社は、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念とし、この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
       また、当社は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧に向けた活動に世界のパートナーと連携して積極的に取り組んでいます。
エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。Twitterアカウント@Eisai_SDGsでも情報公開しています。

6.バイオジェン・インクについて
       神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業のひとつです。バイオジェンは多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する最初で唯一の治療薬を提供しています。また、生物製剤の高い技術力を活かしてバイオシミラーの製品化を行い、業界内で最も多様な神経科学領域のパイプラインに注力し、進展させており、アンメットニーズが高い疾患領域の患者さんの治療水準に変化をもたらしています。

バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。

参考文献
  1. https://www.alzforum.org/news/conference-coverage/lecanemab-sweeps-toxic-av-protofibrils-catches-eyes-trialists
  2. Sehlin D, Englund H, Simu B, Karlsson M, Ingelsson M, Nikolajeff F, Lannfelt L, Pettersson FE. Large aggregates are the major soluble Aβ species in AD brain fractionated with density gradient ultracentrifugation. PLoS One. 2012;7(2):e32014. doi: 10.1371/journal.pone.0032014. Epub 2012 Feb 15. PMID: 22355408; PMCID: PMC3280222.
Biogen-196138