- ICARE AD-USは、実臨床におけるADUHELMの安全性と有効性の評価を目的としたリアルワールド観察臨床第Ⅳ相試験
- ICARE AD-USは、ADUHELMに関する承認後データを創出する3つのプログラムの1つであり、他の2つは臨床第Ⅲb相再投与EMBARK試験と承認要件として計画されている製造販売後検証臨床第Ⅳ相試験
- これまで治験への参加が少なかったコミュニティからの登録を増やすべく、ICARE AD-USにおける登録当事者様の少なくとも16%をラテン系アメリカ人および黒人/アフリカ系アメリカ人のアルツハイマー病(AD)当事者様とすることをめざす>
2021年7月30日 – バイオジェン・インク(Nasdaq: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)とエーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、2021年7月26日から30日に米国コロラド州デンバーおよびバーチャルで開催されているアルツハイマー病協会国際会議(Alzheimer's Association International Conference: AAIC)2021において、ICARE AD-USと呼ばれるADUHELM™(一般名:アデュカヌマブ)注射100mg/mL溶液の長期的な有効性と安全性を評価する、アルツハイマー病(AD)においては初めてのリアルワールド観察臨床第Ⅳ相試験のデザインについて、Late-breaking プレゼンテーションを行うことをお知らせします。バーチャル口頭発表セッション(#57522)は、「ICARE AD-US:米国におけるアデュカヌマブの前向き、単群、多施設、非介入リアルワールド試験デザイン」のタイトルで、2021年7月29日午前8時から9時15分(米国東部時間)に予定されています。
ADUHELMの適応症は、ADの治療です。ADUHELMによる治療は、臨床試験において治療開始の対象としたADによる軽度認知障害または軽度ADの当事者様において開始する必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性に関するデータはありません。本適応症は、ADUHELMの治療により観察されたアミロイドβプラークの減少に基づき、迅速承認の下で認められています。本迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。
ICARE AD-USは、米国食品医薬品局(FDA)により承認された添付文書に基づく米国での実際の日常診療下での処方におけるADUHELMの長期的な有効性と安全性に関する情報提供を目的としたリアルワールド試験です。本試験の主な目的は、ADUHELM治療を受けている当事者様の認知機能、日常生活機能、神経精神状態の実臨床下の長期的な変化を評価することです。副次的な目的は、実臨床下におけるADUHELMの安全性ついてよりよく理解することです。
AD研究において黒人/アフリカ系アメリカ人とラテン系アメリカ人の当事者様登録が一般的に少ないことを考慮し、本試験のデザインでは、予定している6,000人の試験参加者の少なくとも16%をこれらのコミュニティから登録することを重要な目標としています。黒人/アフリカ系アメリカ人とラテン系アメリカ人は、年配の白人アメリカ人よりもADを発症する可能性が、それぞれ、2倍および1.5倍高いにもかかわらず、ADの臨床試験では通常、これらのコミュニティから1〜2%しか登録がありません。
本研究は、米国の約200の施設から4年間にわたってAD当事者様を登録し、登録者様は最大5年間モニターされます。
バイオジェンのU.S. and Global Head of Medical, Alzheimer’s DiseaseであるIvana Rubino Ph.D.は、「バイオジェンは、ADUHELMに関する新しいデータの創出とともに、これまで治験への登録が少なかったグループが今後の臨床試験において適切な割合で含まれるように取り組みます。この試験は人種を超えたAD当事者様の治療の安全性と有効性をよりよく理解するという長年研究者が挑んできた課題に応えるものと信じています。ICARE AD-US試験では、ADの専門家と共同し、これらの課題に対するコミットメントを強調したいと思います」と述べています。
ICARE AD-US試験は、ADUHELMに関する新しいデータを創出するために設計された3つの臨床プログラムの1つです。その他のプログラムには、PRIME長期継続投与、EMERGE試験およびENGAGE試験を含む、これまでのADUHELM臨床試験に登録された適格な当事者様を対象とした進行中の再投与臨床第Ⅲb相試験であるEMBARK試験、ならびに現在、試験デザインを作成中の米国におけるADUHELMの迅速承認の要件の一部として、ADUHELMの臨床的ベネフィットを検証する製造販売後の検証臨床第Ⅳ相試験があります。
エーザイ ニューロロジービジネスグループのVice President、Chief Medical OfficerであるHarald Hampel, M.D., Ph.D.は、「ICARE AD-US試験は、多様な集団を含むリアルワールドにおけるADとAβパスウェイを標的とする初めて承認されたAD治療法としてのADUHELMの安全性、有効性、および管理に関する重要な情報を提供します。当社とより大きなサイエンスコミュニティにとって、健康格差に対処するために、臨床試験に多様な人種の当事者様を募集することは重要です」と述べています。
ICARE AD-US試験に関する発表は、AAICのウェブサイトから30日間アクセス可能です。プレゼンテーション資料は、バイオジェンのウェブサイトinvestors.biogen.comのinvestorsセクションにも掲載されます。
ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)について
ADUHELMの適応症は、アルツハイマー病の治療です。ADUHELMによる治療は、臨床試験において治療開始の対象としたアルツハイマー病による軽度認知障害または軽度認知症の患者様において開始される必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性に関するデータはありません。本適応症は、ADUHELMの治療により観察されたアミロイドβプラークの減少に基づき、迅速承認の下で承認されています。本迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。
アデュカヌマブは、アミロイドβに対するモノクローナル抗体です。脳内のアミロイドβプラークの蓄積は、アルツハイマー病の明確な病態生理学的特徴です。ADUHELMの迅速承認は、臨床的有用性、この場合は臨床症状の悪化抑制をもたらす可能性が合理的に高い代理バイオマーカーであるアミロイドβプラークの減少に対するADUHELMの効果を示す臨床試験のデータに基づいて付与されました。
ADUHELMは、次のような重篤な副作用を引き起こす可能性があります。アミロイド関連画像異常(ARIA)は、通常は症状を引き起こさない一般的な副作用ですが、重篤になる場合があります。ほとんどの場合症状はありませんが、頭痛、錯乱、めまい、視力の変化、吐き気などの症状が現れる人もいます。医療提供者は、患者様に対してADUHELMによる治療前と治療中に磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを行い、ARIAをチェックします。ADUHELMは、次のような深刻なアレルギー反応を引き起こす可能性があります。ADUHELMの最も一般的な副作用には、脳内または脳の表面の小さな出血の斑点の有無によらず脳の浮腫(ARIA)、頭痛と転倒があります。患者様は、副作用に関する医学的アドバイスをもらうように医療提供者に電話する必要があります。
バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、免疫疾患、神経認知障害、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。
エーザイ株式会社について
エーザイ株式会社は、本社を日本に置くグローバル製薬企業です。当事者とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)・コンセプト」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験を活かし、エーザイ認知症プラットフォームの確立を企図し、医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携して、新たな便益をお届けする「認知症エコシステム」の構築をめざしています。エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。