本資料は、米バイオジェン社が 2021年7月12日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

バイオジェン、CNS浸透性の革新的BTK阻害薬orelabrutinibについて、多発性硬化症の治療薬候補としてイノケア社とライセンスおよび提携契約を締結

  • Orelabrutinibは、高い選択性と血液脳関門の通過性を有する第II相段階の経口低分子ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬
  • イノケア社は前払一時金として1億2500万ドルを受領するとともに、開発および製品化によるマイルストン支払いを受領予定

米マサチューセッツ州ケンブリッジおよび中国北京、2021年7月12日 – バイオジェン(NASDAQ略称 BIIB)とイノケア・ファーマ・リミテッド(HKEX: 09969、以下イノケア社)は、経口低分子ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬(BTKi)orelabrutinib について、多発性硬化症(MS)の治療薬候補としてライセンスおよび提携契約を締結したことを発表しました。Orelabrutinibは、高い選択性と血液脳関門を通過する能力を有する共有結合性のBTKiで、現在、再発寛解型MSを対象に国際共同プラセボ対照第II相臨床試験が進行中です。

Orelabrutinibは、B細胞や骨髄性細胞を含む免疫細胞のシグナル伝達カスケードの一部を担う主要な酵素であるBTKを阻害します。血液脳関門を通過する能力を持つorelabrutinibは、中枢神経系(CNS)でB細胞や骨髄性細胞のエフェクター機能を阻害し、全てのタイプのMSの進行に対して臨床上意義のあるベネフィットをもたらす可能性があります。OrelabrutinibはMSの病態進行のメカニズムに作用することで、MSの患者さんにさらなる治療選択肢と病態進行を抑制する可能性をもたらすことが期待されます。

バイオジェンの研究開発責任者であるアルフレッド・サンドロック, Jr., M.D., Ph.D.は、「MSは複雑な慢性疾患であることから、高い選択性と中枢神経系への浸透性を併せ持つユニークな特長があるorelabrutinibは、他のBTKiと比較して臨床上の利点をもたらす可能性があると考えています。バイオジェンは30年以上にわたりMSの研究をリードし、現在では優れたMS治療薬のポートフォリオを有しています。私たちは進行型および再発型のMS患者さんのアウトカムを改善できるような次世代のアプローチの開発に注力しています」と述べています。

イノケア社の共同創設者で会長兼CEOのジャスミン・キュイ(Jasmine Cui), Ph.D.は次のように述べています。「バイオジェンは神経科学の分野で広く知られるリーダーであり、今回の契約により、MS領域におけるorelabrutinibの開発がさらに前進することを確信しています。私たちは、orelabrutinibの潜在的な有効性と安全性プロファイルに加え、何より有望な血液脳関門の通過性から、全てのタイプのMS患者さんの治療薬としてのorelabrutinib の可能性に大いに期待しています。BTK阻害薬は自己免疫疾患、特にMSの治療パラダイムを変革する可能性を秘めています」。

本契約の条件により、バイオジェンは全世界でのMS領域、および中国(香港、マカオ、台湾を含む)以外での特定の自己免疫疾患に対するorelabrutinibの独占権を有します。一方、イノケア社は全世界でのオンコロジー領域、および中国(香港、マカオ、台湾を含む)での特定の自己免疫疾患に対するorelabrutinibの独占権を保持します。イノケア社は前払一時金として1億2500万ドルを受領するとともに、本提携により特定の開発、製品化のマイルストン、および売上高の基準を達成した場合に、最高8億1250万ドルの開発マイルストンおよび製品化にともなう支払いを受領する権利を有します。またイノケア社は本提携の結果発売される製品の正味売上高に対して、10%台前半から後半の段階的ロイヤリティを受領することができます。本取引の完了は、1976年合衆国ハート・スコット・ロディノ(HSR)反トラスト強化法を含む独占禁止法に基づく審査の完了を条件とします。

Orelabrutinibについて
Orelabrutinibは、がんの治療薬として開発された低分子のブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬で、自己免疫疾患の治療薬候補として開発中です。

多発性硬化症の領域では、orelabrutinibは高度な選択性と血液脳関門を通過する能力を有するBTKiで、中枢神経系で高いターゲット占有率を達成する可能性があります。Orelabrutinibは現在、再発寛解型MS患者を対象に国際共同第II相臨床試験が実施されています。

オンコロジー領域では、イノケア社はorelabrutinibについて中国の国家薬品監督管理局(NMPA)から2つの適応で承認を取得しています: 1)再発/難治性慢性リンパ性白血病(R/R CLL)/小リンパ球性リンパ腫(R/R SLL)の治療薬、2)再発/難治性マントル細胞リンパ腫(R/R MCL)の治療薬。

ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬について
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は、ヒトのBTK遺伝子によりエンコードされるチロシンキナーゼです。 BTKはB細胞におけるB細胞受容体のシグナル伝達カスケードで、B細胞の増殖、生存、分化、サイトカイン産生などに必要な極めて重要な役割を果たします。またBTKは骨髄性細胞のシグナル伝達でも主要な役割を果たします。中枢神経系(CNS)に浸透するBTK低分子阻害薬は、末梢神経系およびCNSでB細胞と骨髄性細胞を阻害することで作用します。BTKを発現する骨髄性細胞の中で、CNSに存在するミクログリアは、多発性硬化症において高レベルのBTKを発現することが示されています。

バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経系疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、神経精神疾患、免疫疾患、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。
バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

イノケア・ファーマ社について
イノケア・ファーマ社(HKEX: 09969)は、中国および世界全体で大きなアンメットメディカルニーズのあるがんや自己免疫疾患のファーストインクラスおよび/またはベストインクラスの治療薬を創製、開発、市場化することに専心する製品化段階に達したバイオ医薬品企業です。イノケア社は、新薬開発とビジネスマネジメントに豊富な経験を有するジャスミン・キュイ博士(Dr. Jasmine Cui)と、世界的に知られる構造生物学者であるイゴング・シ博士(Dr. Yigong Shi)によって2015年に創立されました。イノケア社は北京、南京、広州、上海、ニュージャージー、ボストンに支店を構えています。

イノケア社は独自の強固なイノベーション能力を有し、国内外で複数の特許を保有するとともに、液性腫瘍、固形腫瘍、自己免疫疾患を標的とする豊富な製品パイプラインを有しています。イノケア社は2020年3月23日に香港証券取引所への上場を達成しました。

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