- DEVOTE試験により、SMA治療における高用量スピンラザの安全性とさらなる有効性を評価する。十分に確立された安全性プロファイルは、ベネフィットの可能性を支持する。
- SHINE試験からの長期データがスピンラザによる最長6年近い治療を受けた21歳までの患者さんの運動機能の改善あるいは安定化を示唆。
米マサチューセッツ州ケンブリッジ、2019年9月18日 – バイオジェン (ナスダック略号: BIIB) は、スピンラザ(ヌシネルセン)の臨床開発プログラムについて最新情報を発表し、DEVOTE試験と呼ばれる新たなグローバル臨床試験の開始を公表しました。DEVOTE試験では、幅広い患者母集団においてスピンラザを高用量で使用することでSMA治療の有効性をさらに高めるかどうかを評価します。さらに、今回新たに発表された新データは、遅発型SMA患者さんにおけるスピンラザによる治療の安全性と有効性をこれまで以上に証明するものであり、第13回欧州小児神経学会(ESPN)において演題発表として紹介されます。
スピンラザはSMAのベースとなる治療法であり、乳幼児、小児および成人の適応症で承認された初めての治療薬です。そのエビデンスは広範な患者さんにわたっており、40か国以上1で8,400名以上の患者さんを治療してきたリアルワールドでの経験を備えています。こうした最新の臨床プログラム情報は、SMAにおけるこれまでで最大かつ最長期間の臨床データをさらに更新するものです。
新たに開始するDEVOTE試験では、スピンラザがSMA治療においてさらに大きな有効性を提供できるかどうかを評価
DEVOTE試験は広範な患者さんにおけるスピンラザの長期的安全性プロファイル、およびすでに確立された有効性に立脚したものであり、高用量で投与した場合のスピンラザの有効性の向上の可能性とともに、安全性と忍容性を検証するものです。この試験は第Ⅱ/Ⅲ相無作為化・比較対照・用量漸増型試験で世界中の50施設で実施されます。予定登録者数は126名で、成人を含むすべての年齢層にわたっています。
バイオジェンのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼チーフ・メディカル・オフィサーのアルフレッド・サンドロックM.D., Ph.Dは次のように述べています。「スピンラザはSMAの自然経過を根本的に変えてきました。アンチセンス・オリゴヌクレオチドは疾患の根幹に直接働きかけ、これまでの環境を大きく変える治療選択肢を提供します。スピンラザの標的型を極めたアプローチと安全性のプロファイルにより、SMAコミュニティに存在するアンメットメディカルニーズ(まだ満たされない医療ニーズ)を解消する方法を継続的に探索し続ける可能性を提供してくれます」。
本試験は、オープンラベルでの安全性評価と、ピボタルかつ二重盲検でコントロールされる無作為化治療と、それに続くオープンラベルでの治療の3つのパートに分かれています。安全性評価の後、この試験では15日の間隔をあけて50mgの負荷投与用量を2回投与し、その後維持用量として28mgを4カ月毎に投与する群と、FDAが承認した用法用量である12mgの負荷投与用量を4回投与後に12㎎の維持用量を4カ月毎に投与する群の2群を比較します。この試験の3番目のパートは、安全かつ効率よく患者さんを現在承認されているスピンラザの用量から試験中の高用量に移行させる方法を決めるためのオープンラベル評価です。
この試験についての詳細は次のサイトで閲覧できます。 (clinicaltrials.gov).
EPNSで発表されるデータが長期的な治療後の運動機能の改善または安定化を証明
すでに終了したスピンラザ試験に参加したSMAの患者さんのためのオープンラベル継続試験であるSHINE試験(NCT02594124)からの統合解析では、遅発型SMA(II型かIII型)の幼児が一つ以上の尺度で最長6年間近くにわたって運動機能の改善または安定化を経験していることが示されました。これは、自然経過コホートで観察される想定内の低下とは対照的でした。SHINE試験は2-15歳で治療を開始した24名の患者さん(SMA II型; n=10 and 3; n=14)をフォローするものであり、これらの患者さんはCS2/CS12試験から移行してきていました。これらの試験では、以前に、スピンラザによる治療を受けた遅発型SMAの患者さんにおいて運動機能の改善と疾患自体の安定を約3年以上にわたって示すものでした。これらは本疾患の自然経過コホートでは観察されていません2。この試験に参加した患者さんは、試験における最後の受診時に7-21歳でした。
SHINE試験 の解析で使用された運動機能の尺度は、拡大版ハマースミス運動機能評価スケール(HFMSE)、上肢モジュール(ULM)、6分間歩行テスト(6MWT)でした。有害事象のために治療を中止した患者さんは皆無でした。また、6年近いフォローアップ期間中に新たに特定された安全上の懸念も皆無でした。
米国ボストンこども病院の神経筋センター長で脊髄性筋萎縮症プログラムディレクターであるバジル・ダラス医学博士は次のように述べています。「こうした知見は、SMAの患者さんの長期的治療の必要性を理解するうえで重要です。今回のデータは、スピンラザの長期的安全性と忍容性を裏付けるものであり、遅発型SMAの患者さんの運動機能の改善と安定化に役立つものです」。
スピンラザ®について(ヌシネルセン)3-4
スピンラザは脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳幼児、小児および成人の治療の適応症で承認された初めての治療薬です。世界40か国以上で承認されており、2019年6月30日現在、8,400名以上がスピンラザによる治療を受けており、最大6年近くにわたります。これには、市販後の患者さん、拡大アクセスプログラム(EAP)の患者さん、および臨床試験参加者が含まれています。スピンラザは広範な母集団スペクトラムにわたって最大規模のリアルワールドでの経験と最高レベルの臨床エビデンスを備えた唯一のSMA治療薬です。
SMA は希少で遺伝子変異による神経筋疾患です。その特徴は、脊髄および下位脳幹における運動ニューロンの喪失であり、進行し重篤化すると、筋萎縮と衰弱に至ります。1万人に1人が出生時にSMAと診断されますが、この疾患の影響はすべての年齢層に及びます。乳幼児の遺伝学的原因により死亡の最も多い原因の一つです。
スピンラザはSMAのベースとなる治療であり、全長のSurvival Motor Neuron(SMN)タンパク量を増やすことでSMAの根本原因を標的化するよう設計されたアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASO)の一種です。このタンパク質は運動ニューロンの維持に不可欠なものであり、髄腔内注射によって脊髄液に投与されます。それにより、運動ニューロンが残って治療薬を疾患の患部に到達させます。
スピンラザは現在、SMAにおける最大のデータセットを維持しています。このセットは、300名以上の患者さんからなる幅広いSMA母集団において好ましいリスク・ベネフィットプロファイルを示しています。スピンラザは乳児型と遅発型SMAの患者さんにおいて、2つの無作為化・二重盲検・シャム対照試験(ENDEAR試験とCHERISH試験)で評価されました。また、発症前の乳児におけるオープンラベル試験(NURTURE試験)ならびに成人になるまで治療を受けた遅発型SMAの患者さんの試験(CS2/CS12)によってもサポートされています。観察された最も多い有害事象は呼吸器感染症、発熱、便秘、頭痛、嘔吐、腰痛でした。髄膜炎と水頭症が市販後に観察されています。腎毒性や、急性血小板数減少などを含む血液凝固障害が、いくつかのASOで観察されています。臨床検査により、こうした兆候をモニターすることができます。
バイオジェンは、スピンラザを開発・製造・商品化するためのグローバルな権利をアイオニス・ファーマシューティカルズ社(ナスダック略号:IONIS)から供与されています。アイオニスはアンチセンス医療のリーダーの一つです。バイオジェンとアイオニスはスピンラザを初めてヒトに投与した革新的な臨床開発プログラムを2011年から実施し、5年で最初の薬事承認を得ました。
バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者に提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、運動障害、神経筋障害、急性神経疾患、神経認知障害、疼痛、眼疾患といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体Twitter , LinkedIn , Facebook , YouTube をご覧ください。
バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。世界で最も歴史のある独立系バイオテクノロジー企業の日本法人として、日本では2000年より事業を展開しています。「神経科学の不可能を、可能に。」をビジョンに掲げ、日本の患者さんにも革新的な医薬品やより良い治療環境を提供すべく活動を展開しています。バイオジェン・ジャパンに関する情報については、https://www.biogen.co.jp/ 、およびSNS媒体Twitter , Facebook , Instagram , YouTube をご覧ください。