バイオジェンとウェルビーが開発したアプリが「2018年度グッドデザイン賞」を受賞
「2018年度グッドデザイン・ベスト100」にも選出

~難病の診断・治療、ならびに医師とのコミュニケーションを支援する仕組みが評価される~

バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:鳥居慎一、以下、バイオジェン・ジャパン)、株式会社ウェルビー(本社:東京都中央区、代表取締役:比木武、以下、ウェルビー)が共同で開発した、脊髄性筋萎縮症(SMA)患者さんとそのご家族をサポートするためのアプリ「SMAiLEE(スマイリー)」が、「2018年度グッドデザイン賞」を受賞いたしました。また受賞者の中から選出される「2018年度グッドデザイン・ベスト100」にもあわせて選出されましたのでお知らせいたします。

SMA診療では、患者さんの運動機能の正しい把握が重要です。特に乳幼児では、診察時の機嫌や体調によって十分な動きを確認できないことも多く、正確な状態評価につながらないことがありますが、「医師が確認したい運動」を簡単に撮影・記録できるアプリを通して、SMAの診療コミュニケーションを改善することで、治療環境の向上を目指した点が評価されました。

「グッドデザイン賞」は、1957年の開始以来、デザインによって暮らしや社会をより良くしていくための活動です。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰することを目的とする賞です。また、「グッドデザイン・ベスト100」は、2018年度グッドデザイン賞受賞対象の中で、審査委員会により特に高い評価を得た100件に贈られます。

「SMAiLEE」は、患者さんのご家族が自宅で撮影した動画を医師の診察時に役立てていただくためのスマートフォンでご利用いただくアプリで、自宅での患者さんの運動動画を簡単に撮影・編集することができます。本アプリの登録会員には地域の病院やクリニックに受診する際の相談や、地域の社会保障制度、バリアフリー情報の調査を代行するサービス等を提供しています。また、本アプリは、難病で希少疾患である脊髄性筋萎縮症(SMA)ご家族や介護者が、日常の患者さんの様子(動き等)を動画で記録し、診察時にこれを持参することで、医師をはじめとする医療関係者に症状や日々の変化をより詳しく伝えることを可能にし、関係者の間でのコミュニケーションを向上することはもとより、本質である治療効果を最大化することにも貢献することを目的に開発されました。今後は、さらに幅広い患者さんの治療環境に対し、継続的に貢献できるサポートツールにするべく、機能を拡張していく予定です。

なお、今回の受賞について「SMAiLEE」の監修医である国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナルメディカルセンター長 小牧宏文医師は次のようにコメントしています。
「SMAは、乳児期から小児期でSMAに罹患している患者さんの割合が10万人中1~2人という稀な疾患です。そのため、病気や専門家の情報が少なく、なかには発症に気づかず十分な治療環境にアクセスできていない患者さんもいるという現状もあります。今回のような取り組みを通じて、患者さんとその家族が、より多くの情報にアクセスできる環境が整備されていくと考えています。「SMAiLEE」は、患者さんの自宅での様子を動画で記録できます。診察室だけでは知りえない情報を共有できることで、患者さんとのコミュニケーションがより円滑になると期待しています」。

また、「SMAiLEE」をウェルビーと共同開発したバイオジェン代表取締役社長 鳥居慎一は、「これまで治療法がなかった脊髄性筋萎縮症(SMA)患者さんとそのご家族に医薬品をお届けできるようになりましたが、まだまだ疾患、診断や治療法について十分に知られていないのが現状です。本サポートサービスが、SMA患者さんの早期診断につながること、ひいては早期治療によって患者さんの治療により貢献できることを願っています」と話しています。

会社情報

◇株式会社ウェルビーについて
ウェルビーは、2011年からPHR(Personal Health Record)サービスを提供するリーディングカンパニーとして、様々な疾患領域の患者さんを対象とする、治療支援デジタルサービスの企画・開発・運用をしています。提供するPHRサービスの一つ「Welbyマイカルテ」は、糖尿病、高血圧などの生活習慣病患者さんを対象に、血糖値や血圧などの自己管理を支援するスマートフォン向けアプリです。また、大手製薬企業と共同で企画し、ウェルビーが運営するPHRサービスも数多くあり、生活習慣病をはじめとして、オンコロジー領域、中枢神経系領域、自己免疫疾患、希少疾患など、幅広い領域でPHRサービスを提供しています。また様々な疾患領域におけるPHRサービスの実績とID・DB基盤を活かし、臨床研究を対象としてPHR/PROを活用したエビデンス創出の相談から、PHR/PROの収集システムの開発・運用、機器の運用支援までをパートナー企業と連携して提供しています。ウェルビーは今後も「Empower the Patients」をビジョンに、患者さん中心の医療を実現すべく、日本のPHRサービスをリードしています。

  • 社名 : 株式会社ウェルビー
  • 代表者 : 代表取締役 比木 武(ひき たける)
  • 本社所在地 : 東京都中央区日本橋本町3-8-3 東硝ビル5階
  • 設立年月日 : 2011 年9月
  • 事業内容 : 患者向け治療支援デジタルサービス(PHR)の企画・開発・運用
  • URL : https://welby.jp/

◇バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者に提供しています。1978年に チャールズ・ワイスマン、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の唯一の治療薬を製品化いたしました。また、アルツハイマー病、神経免疫疾患、運動性疾患、神経筋障害、疼痛、眼科、神経精神医学といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。生物製剤の高い技術力を活かし、バイオジェンは高品質のバイオシミラーの製造と製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。世界で最も歴史のある独立系バイオテクノロジー企業の日本法人として、日本では2000年より事業を展開しています。バイオジェン・ジャパンに関する情報については、https://www.biogen.co.jpをご覧ください。

  • 社名 : バイオジェン・ジャパン株式会社
  • 代表者 : 代表取締役 鳥居 慎一
  • 本社所在地 : 東京都中央区日本橋一丁目4番1号 日本橋一丁目三井ビルディング 14階
  • 設立年月日 : 2000 年9月
  • 事業内容 : 医薬品の開発・製造・販売
  • URL : https://www.biogen.co.jp

◇脊髄性筋萎縮症(SMA)について1-5
SMAは、脊髄および下位脳幹における進行性の運動ニューロンの脱落を特徴とする疾患であり、重篤で進行性の筋萎縮や筋力低下を引き起こします。最も重篤なタイプのSMAの患者さんは最終的に麻痺状態となり、呼吸や嚥下など生命維持のための基本的な身体機能に支障をきたす恐れがあります。

SMN1(Survival of Motor Neuron 1)
遺伝子の欠落または欠損により、SMAの患者さんは運動ニューロン維持に必要なSMNタンパク質を十分に産生することができません。SMAの重篤度はSMNタンパク質の量と相関関係があります。乳児型SMAの患者さんは最もきめ細やかな支持療法を必要としますが、SMNタンパク質がほとんど生成されないため、支えなしに座ることができず、人工呼吸器による補助なしに2年以上生存することができません。乳児型以外のSMA患者さんでは、より多くのSMNタンパク質が生成され重篤度も下がりますが、日々の生活と人生に困難を強いられます。

参考文献
  1. Darras B, Markowitz J, Monani U, De Vivo D. Chapter 8 - Spinal Muscular Atrophies. In: Vivo BTD, ed. Neuromuscular Disorders of Infancy, Childhood, and Adolescence (Second Edition). San Diego: Academic Press; 2015:117-145.
  2. Lefebvre S, Burglen L, Reboullet S, et al. Identification and characterization of a spinal muscular atrophy-determining gene. Cell.1995;80(1):155-165.
  3. Mailman MD, Heinz JW, Papp AC, et al. Molecular analysis of spinal muscular atrophy and modification of the phenotype by SMN2. Genet Med. 2002;4(1):20-26.
  4. Monani UR, Lorson CL, Parsons DW, et al. A single nucleotide difference that alters splicing patterns distinguishes the SMA gene SMN1 from the copy gene SMN2. Hum Mol Genet. 1999;8(7):1177-1183.
  5. Peeters K, Chamova T, Jordanova A. Clinical and genetic diversity of SMN1-negative proximal spinal muscular atrophies. Brain.2014;137(Pt 11):2879-2896. 

【補足資料】

スマートフォン用アプリ「SMAiLEE(スマイリー)」の主な機能について

スマートフォン用アプリ「SMAiLEE(スマイリー)」の主な機能について

脊髄性筋萎縮症(SMA)の診療では、普段のお子さんの様子を医師や理学療法士、作業療法士、看護師などの医療関係者に詳しく伝えることが大切です。「SMAiLEE」を使うことで、ご家庭での様子を簡単に動画で記録できるようになり、医療関係者に伝えやすくなります。

機能:

  • 動画の共有
    ご家庭での患者さんの自然な動きを、医療関係者と共有することで、運動機能が把握しやすくなります。また、アプリに担当医専用の連携コードを登録することで、診察時以外でも、オンラインで動画を閲覧・共有できるようになります(2018年12月実装予定)。
  • えくささいず
    アプリには、SMAの患者さんの状態変化を把握するのに推奨される、全16種類の参考運動がモデルアニメーションとともに備えられています。現在の患者さんの運動機能をチェックリストに登録すると、16種類の中から、とくに観察に適した参考運動を提示することができます。
  • タイムライン
    撮影・編集した動画はタイムライン上に時系列で表示されます。通院日情報と一緒に動画を確認することもでき、症状の経時的変化をわかりやすく把握できます。
  • スマイリー会員専用ダイヤル
    アプリをダウンロードいただくとご利用いただける会員専用ダイヤルは、アプリの使い方、地域の病院やクリニックに受診する際のご相談、お住まいの地域における社会福祉制度の調査し、ご家族をサポートいたします。
    また、アプリ会員以外の方には、SMA情報ダイヤル(0120-515-275)から、SMAに関するご相談やお問い合わせを受け付けています。

利用方法:
スマートフォン:iPhoneおよびAndroidアプリをダウンロード(無料)
※いずれの場合も株式会社ウェルビーが運営する「Welby ID」への会員登録が必要です。

【iOS版】
https://itunes.apple.com/JP/app/id1313605028?&mt=8

【Android版】
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.welby.smailee

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