- Litifilimabは、臨床第II相LILAC試験の主要評価項目である皮膚エリテマトーデス(CLE)の皮膚疾患活動性において、プラセボと比較して有意な抑制を示した
- バイオジェンはlitifilimabについて、全身性エリテマトーデス(SLE)を対象に臨床第III相TOPAZ試験も実施中。CLEについても今年中にピボタル試験を開始する予定
- バイオジェンは慢性の自己免疫疾患であるループスについて、2種類の治療薬候補の臨床第III相試験を進行中
米マサチューセッツ州ケンブリッジ、2022年7月28日(米国時間)– バイオジェン(NASDAQ略称BIIB)は、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)が、ループスの治療薬候補litifilimab(開発コードBIIB059)の2つのパートからなる臨床第II相LILAC試験のうちCLEを対象としたパート(パートB)のポジティブな結果を掲載したことを発表しました。Litifilimabは皮膚疾患活動性の減少でプラセボと比較して優越性を示し、主要評価項目を達成しました。
ペンシルバニア大学ペレルマン医学部の皮膚科学教授であるVictoria Werth, M.S., M.D.は次のように述べています。「CLEは患者さんの生活に皮膚症状と感情面で長期的にネガティブな影響を及ぼし、QOLの著しい低下と不可逆性の皮膚への損傷をもたらすことがあります。過去20年間の医学の進歩にもかかわらず、CLEには治癒できる治療法がなく高いアンメットメディカルニーズが存在します。LILAC試験はCLEを対象とする初の無作為化対照試験の一つで、これらのポジティブな結果がNEJMに掲載されたことを心強く思います」。
バイオジェンはlitifilimabの開発を後期段階に進めており、全身性エリテマトーデスの被験者を臨床第III相TOPAZ-1およびTOPAZ-2試験に積極的に組み入れるとともに、今年中にCLEのピボタル試験を開始する予定です。Litifilimabは形質細胞様樹状細胞の表面に特異的に発現する受容体である血液樹状細胞抗原2(BDCA2)を標的とする新規の作用機序を有し、皮膚等の炎症部位におけるI型インターフェロン、サイトカイン、ケモカインの産生を減少させることが示されています。1
バイオジェンで多発性硬化症&自己免疫領域開発ユニットのトップを務めるNathalie Franchimont, M.D., Ph.D.は次のように述べています。「Litifilimabは、ループスのファーストインクラスの治療薬候補としてバイオジェンの科学者により開発されました。今回の臨床第II相試験のデータは、現在は治療選択肢が限られている皮膚ループス(他の臓器への影響の有無を問わず発症する皮膚の自己免疫疾患)の患者さんに、意味のある新たな治療法をお届けするという私たちの目標を明確にするものです。この有望な治療薬候補を開発後期段階に進め、特にこれまで十分に支援することができていなかった方々を対象に、その可能性の評価を推進できることに大いに期待しています」。
臨床第II相LILAC試験パートBの結果
LILAC試験はプラセボ対照無作為化二重盲検試験で、litifilimabの有効性と安全性を2つのパートでプラセボと比較しました: パートAは、関節および皮膚に疾患活動性が現れているSLEの被験者が対象; パートBは、中等症から重症の活動性CLEの被験者(全身症状発現の有無にかかわらず、疾患活動性亜急性および慢性のサブタイプを含む)が対象。既に報告されているように2,3、本試験のパートA、パートBともに、litifilimabがSLEおよびCLEの被験者において、それぞれ、疾患活動性のある関節総数と皮膚疾患活動性の減少でプラセボに対して優越な有効性を示し、それぞれの主要評価項目を達成しました。
LILAC試験パートBは、疾患活動性で組織学的に確認されたCLEの被験者を対象に、複数用量のlitifilimabまたはプラセボを評価しました。主要な解析には、皮膚疾患活動性の主要評価項目に基づく4つの用量群(プラセボ、litifilimab 50 mg、同150 mg、同450 mgを、0週、2週、4週、8週、12週に皮下投与)における用量反応検討が含まれます。本臨床第II相試験は副次評価項目を検討する設計ではありませんでした。
LILAC試験パートBの被験者群は、より広範なCLEの患者層に及び、その約10%が黒人またはアフリカ系アメリカ人でした。パートBでは、 litifilimabは皮膚疾患活動性の評価指標で主要評価項目であるCutaneous Lupus Erythematosus Disease Area and Severity Index (CLASI-A)スコアのベースラインから16週の変化率に基づき、有意な用量反応関係を示しました。
LILAC試験パートB において、litifilimabは総じて良好な忍容性を示し、報告された殆どの有害事象は軽症または中等症と評価されました。併合されたlitifilimab投与群の5%以上で報告された主な有害事象は、鼻咽頭炎、頭痛、注射部位紅斑、SLE、関節痛、上気道感染症、インフルエンザ、掻痒及び咳でした。
関節および皮膚に疾患活動性が現れているSLEの被験者を組み入れたLILAC試験パートAの詳細な知見は、別途、査読のある医学誌に公表される予定です。
Litifilimab (BIIB059)について
バイオジェンが創製し単独で開発するlitifilimab(開発コードBIIB059)は、血液樹状細胞抗原2(BDCA2)を標的とする完全ヒト化IgG1モノクローナル抗体で、SLEおよびCLEの治療薬候補として開発されています。BDCA2は形質細胞様樹状細胞(pDCs)と呼ばれるヒト免疫細胞のサブセットに特異的に発現する受容体で、litifilimabはpDCsからタイプ-I IFN(IFN-I)および他のサイトカインやケモカイン等の炎症産物の産生を減少させることが示されています。これらの炎症性メディエータはSLEおよびCLEの発症機序に重要な役割を果たすと考えられています。
皮膚エリテマトーデス(CLE)について
ループスの一種であるCLEは、全身症状発現の有無にかかわらず発症する慢性の自己免疫皮膚疾患です。CLEの患者さんはしばしば、皮疹、疼痛、掻痒(痒み)、光過敏症や、経時的に悪化し外見を損ないQOLに多大な影響を与えかねない不可逆性の瘢痕性脱毛症や色素沈着異常を含む皮膚損傷等の症状を経験します。4-7
誰でもループスに罹患する可能性がありますが、患者さんの推計90%は女性で、15~40歳の間に発症することが最も多いです。6 この疾患は、アフリカ系アメリカ人、アメリカ先住民/アラスカ先住民、ヒスパニック系/ラテン系コミュニティを含む様々な民族-人種グループに多く見られています。9-12 現在、ループスの治療法は存在しません。
神経科学と免疫学が交わる領域の伝達経路に関するバイオジェンの数十年にわたる研究は、免疫学における専門性の高い豊富な知見を当社にもたらしました。バイオジェンは2つのループスの治療薬候補を臨床第III相試験に進めています。Dapirolizumab pegolはSLEを対象にUCB社と共同開発を行っています。もう一つのlitifilimab (BIIB059)はバイオジェンが創製し単独で開発を行っており、現在SLEを対象に臨床第III相試験中で、CLEに対する試験の推進も計画しています。
バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業のひとつです。バイオジェンは多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する最初で唯一の治療薬を提供しています。また、生物製剤の高い技術力を活かしてバイオシミラーの製品化を行い、業界内で最も多様な神経科学領域のパイプラインに注力し、進展させており、アンメットニーズが高い疾患領域の患者さんの治療水準に変化をもたらしています。
2020年、バイオジェンは、気候、健康、公平さが深く相互に関連する課題に対して、20年間に2億5000万ドルを投資する大規模な取組みを開始しました。Healthy Climate, Healthy Lives ™は、ビジネス全体で化石燃料の使用をゼロにし、著名な研究機関とのコラボレーションを構築して科学研究を進展させ、人類の健康を改善し、発展途上のコミュニティをサポートすることを目的としています。
バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。
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