本資料は、米バイオジェン社が 2022年5月3日(現地時間)に発表したプレスリリースの抜粋日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

2022年度第1四半期業績を発表

第1四半期総収益:25億3200万ドル
GAAP希薄化後EPS:2.06ドル;非GAAP希薄化後EPS:3.62ドル
ADUHELM®の在庫評価損がEPSを0.76ドル押し下げ

アミロイドを標的とした抗体治療薬への最終的な保険償還の適用範囲決定を受け、
ADUHELM®の商業化に関わる体制を大幅に縮小;追加のコスト削減策も実施

バイオシミラー合弁事業における保有株式の売却を4月に完了(最高23億ドル)

2022年は3件の薬事申請とレカネマブの第III相試験を含む3つの結果に期待

2022年度の業績ガイダンスを再確認

最高経営責任者(CEO)の交代を発表

マサチューセッツ州ケンブリッジ、2022年5月3日-バイオジェン(ナスダック:BIIB)は、2022年第1四半期の業績を発表しました。

「私たちは先日のADUHELM®に対するメディケアの適用範囲決定に失望しています。バイオジェンは第1四半期の中核ビジネスの目標を遂行し、現在はビジネス上の短期的な優先課題の実行を見据えています。これにより、新たな成長と価値の創造に時間をかけて取り組むことができると確信しています。当社のバランスシートは堅牢で、アルツハイマー病に対するレカネマブやうつ病に対するzuranoloneを含む広範なパイプラインを推進するとともに、社内外で新たな成長の機会を追求することを可能にしてくれます」、とバイオジェンのCEOであるミシェル・ヴォナッソスは述べました。

2022年第1四半期の業績

  • 第1四半期の総収益は25億3200万ドルで、実質為替レートで前年同期比6%減、恒常為替レートで同5%減となりました。多発性硬化症(MS)の収益(OCREVUS®の売上に関するロイヤルティを含む)は16億4700万ドルで、実質為替レートで前年同期比3%減、恒常為替レートで同2%減でした。スピンラザ®(ヌシネルセン)の収益4億7300万ドルは、実質為替レートで前年同期比9%減、恒常為替レートで同6%減でした。バイオシミラーの収益は1億9400万ドルで、実質為替レートで前年同期比5%減、恒常為替レートで同1%減でした。リツキサン®/GAZYVA®の収益は1億4700万ドルで、前年同期比18%減でした。
  • GAAPでの第1四半期の純利益および希薄化後の1株当たり利益(EPS)は、それぞれ3億400万ドルおよび2.06ドルでした。非GAAPでの第1四半期の純利益および希薄化後のEPSは、それぞれ5億3500万ドルおよび3.62ドルでした。GAAPおよび非GAAPでの第1四半期のEPSはADUHELM®の在庫評価損により約0.76ドル押し下げられました。GAAPと非GAAPによる財務指標の比較は英文オリジナルプレスリリース末尾の第4表に記載しています。

アルツハイマー病治療薬に関するアップデート
2022年4月に、CMS(メディケア・メディケイド・サービスセンター)は、ADUHELM®を含め、アミロイドを標的としたアルツハイマー病の治療法としてFDAが承認したモノクローナル抗体に対する最終的な保険償還の適用範囲(NCD)を発表しました。NCDの最終決定による制限に伴い、バイオジェンはADUHELM®の商業化に関わる体制を見直し、現在米国で治療を受けている患者さんへの無償提供プログラムの継続を含む患者アクセスプログラムの管理に必要な最小限のリソースを維持する程度に大幅に縮小します。バイオジェンは、EMBARK再投与試験の継続および当局から求められている臨床第IV相ENVISION市販後検証試験の開始を含め、ADUHELM®に関する一部の薬事関連や研究開発活動を遂行するための資金拠出を継続します。ADUHELM®に関する追加のアクションは、このクラスの抗体治療薬についての今後の結果、ならびにFDAおよびCMSとのさらなる協議によってその方針が決定されます。

レカネマブの臨床第III相試験の結果が出るのは2022年秋の予定であり、バイオジェンはレカネマブの上市に向けてエーザイと緊密に協働してまいります。

ビジネス上の短期的優先課題
バイオジェンは、新たな収益拡大と価値創造に時間をかけて取り組むために、ビジネス上の5つの短期的優先課題を遂行してまいります。

  1. 成功確率を最大化することを目標に、研究開発の優先順位付けにさらに注力。これにより一部のプログラムについて、前倒し・終了・売却・提携を選択する可能性があり、バイオジェンの重点治療領域およびそれらに隣接する領域で、社内外の新たな機会を継続して評価することも含まれます。この優先順位付けのプロセスは、一部は2022年に予定されている主要な結果によってその方向性が決定されます。
    • アルツハイマー病領域において、バイオジェンとエーザイは2022年第2四半期に迅速承認の仕組みに基づいてレカネマブの段階的申請を完了する予定です。さらに、レカネマブの臨床第III相Clarity AD検証試験の結果が出るのは2022年秋の予定です。Clarity AD試験の結果に基づいて、バイオジェンとエーザイは2023年第1四半期までに通常のFDA承認に向けた申請を行う予定です。レカネマブは米国でアルツハイマー病治療薬として初めて通常承認を取得する抗アミロイド抗体薬になる可能性があります。
    • 神経精神医学領域において、バイオジェンはSage Therapeutics, Inc. (以下Sage社)と協働して、大うつ病(MDD)および産後うつ病(PPD)に苦しむ患者さんの新たな治療選択肢候補としてzuranoloneの開発を推進しています。バイオジェンとSage社は米国FDAにMDDに対する新薬承認申請(NDA)の段階的申請を開始し、2022年後半の完了を見込んでいます。PPDに対する臨床第III相SKYLARK試験の結果は2022年半ばに出る予定で、これに関するNDAの提出は2023年初めを予定しています。
    • また神経精神医学領域で、バイオジェンは統合失調症に関連する認知障害に対するBIIB104の臨床第II相試験の結果が出るのは2022年半ばの予定です。
  2. 追加のコスト削減および生産性向上施策を実施し、バイオジェンのコスト構造をその収益ベースにより合致させるとともに、有望なパイプラインや市場機会への資金拠出を継続。
    • グローバル全体で当社のADUHELM®商業化に関わる体制の大幅な縮小およびその他のコスト削減策により、既に発表した年間5億ドルの削減を目指す取り組みに加えて、さらに年間約5億ドルが削減される見込みです。
    • これにより年間で総額約10億ドルの削減となる見通しで、その一部は今後数年間の戦略的施策に再投資されます。
  3. 主要な新興市場(中国および南米・中東の一部市場等)に注力して米国外の成長機会を遂行。これにはスピンラザを販売し続けることが含まれるとともに、各市場で事業開発機会を追求する可能性も含まれます。
  4. バイオシミラー事業で成長軌道への回帰の可能性を追求。現在バイオジェンが商業化している抗TNF薬のポートフォリオはライフサイクルのピークを過ぎているかもしれませんが、当社では現在さらに4つの開発中のプログラムがある他、米国で今後数か月内にルセンティス®を先発品とするBYOOVIZ™の発売に向け準備を行っています。
  5. 手元資金と将来のキャッシュフローをさらなる収益拡大機会の創造に振り向けることに引き続き注力するとともに、自社株買いによる株主への還元を継続。

バイオジェンはこれらの優先課題を成功裏に実行することで時間をかけて当社を成長軌道に回帰させることができると確信しています。

CEOの交代
バイオジェンは本日(3日)、新たな最高経営責任者(CEO)の人選を開始したことを発表しました。ミシェル・ヴォナッソスは後任が任命されるまでCEOおよび当社の取締役としての役割を継続します。ヴォナッソス氏は2017年1月に当社のCEOに就任以来、その任務に当たってきました。

ヴォナッソスのリーダーシップの下、バイオジェンは主に多発性硬化症(MS)にフォーカスした企業から広範な治療領域およびモダリティにまたがる30以上の臨床プログラム(うち第III相または申請済みが10件)を含む強固で多様性に富むパイプラインを有する神経科学のパイオニアへと変革を遂げました。ヴォナッソスは過去5年間でMS、うつ病、脳卒中、ALSを含む幅広い疾患領域にわたる30件以上の事業開発契約の締結を指揮しました。

ヴォナッソスは重篤な疾患を抱える患者さんの多大なアンメットニーズに応える複数の重点領域の確立を主導するとともに、バイオジェンがグローバル企業として大きく拡大するための設計図を描きました。ヴォナッソスの数多くの実績には、バイオジェンの革新的な脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬であるスピンラザおよび再発寛解型MSの新規治療薬であるVUMERITY®(フマル酸ジロキシメル)の上市を成功に導いたこと、バイオシミラー事業を確立し成功させたこと、そして約20年ぶりのアルツハイマー病の新薬であるADUHELM®のFDA迅速承認の取得等があります。またヴォナッソスの任期中、バイオジェンは多くの外部環境による試練の中で業績の回復力を示すとともに、気候変動に対応するための大胆な施策を実行しました。

バイオジェンの取締役会会長であるStelios Papadopoulosは次のように述べています。「我々はヴォナッソスのバイオジェンに対する多大な貢献に感謝しています。彼はバイオジェンを神経科学のグローバルリーダーへと変貌させてくれました。重篤な疾患に直面する人々の人生に違いをもたらすイノベーションと科学の進歩への確固たるコミットメントを原動力に、彼は常に患者さん第一を貫いています。後任が任命されるまでヴォナッソスがバイオジェンを引き続きリードし、新任CEOへの移行が途切れなく実施されるよう支援してくれることを嬉しく思います。既に構築された強固な土台の上に新たなリーダーの下でバイオジェンの新たな時代を築いていくのに、今が良いタイミングです」。

ヴォナッソスは次のように述べています。「このような困難な時期にこの素晴らしい会社を指揮し、数多くの献身的かつ有能な社員の皆さんと緊密に仕事をすることができたことを光栄に思います。私は多大なアンメットメディカルニーズのある複雑な領域である神経科学におけるバイオジェンの比類なき能力を、そして私たちが患者さんにもたらしてきた新規の医薬品とそのベネフィットを心から誇りに思います。私の任期中にご支援をいただいた取締役会と社員の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。私はバイオジェンが価値創造の特筆すべき可能性を有する約束された時期にこの会社を後にしますが、スムーズな移行に向けて後任の方と協働することを楽しみにしています」。

最近のハイライト

  • 2022年第1四半期、エーザイとバイオジェンはエーザイが開発中の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体レカネマブ(BAN2401)について、日本の医薬品事前評価相談制度の下で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)への申請データの提出を開始したことを発表しました。アルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)および軽度ADを対象とするレカネマブの臨床第III相Clarity AD試験は進行中です。「医薬品事前評価相談制度」と呼ばれるPMDAのプロセスは、既存の質の高い非臨床および臨床データに基づき、NDA提出前の開発段階で実施されます。申請前に問題となり得る点を特定し解決することで、審査期間を短縮することが目的です。厚生労働省およびPMDAとの協議に基づき、エーザイはレカネマブについて審査期間の短縮を目指して「医薬品事前評価相談制度」の活用をPMDAに申請しました。PMDAはエーザイの申請を受理し、エーザイはレカネマブの非臨床データをPMDAに提出しました。申請パッケージの追加データはこの後提出されます。エーザイはClarity AD試験の主要評価項目のデータを2022年秋に入手する見込みで、その試験結果に基づいてエーザイの2022会計年度中に日本での製造販売承認の申請を目指しています。
  • 2022年第1四半期、エーザイとバイオジェンは早期ADの治療薬候補として開発中の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体レカネマブに関する最新の知見をアルツハイマー・パーキンソン病学会で発表しました。本シンポジウムの4つのキーとなる発表では、レカネマブの臨床効果データ、全般的なアミロイド関連画像異常の発生率、バイオマーカーと臨床結果の関係、検討中の用量レジメン、および投与が、早期AD当事者の方にどのようなベネフィットをもたらす可能性があるかを検討しました。
  • 2022年4月、Sage社とバイオジェンはMDD治療薬としてFDAへのzuranolone NDAの段階的申請を開始しました。zuranoloneはMDDおよび産後うつ病の治療薬候補として開発中の2週間1日1回投与の経口薬です。両社はNDAの非臨床モジュールをFDAに提出し、MDD申請の残りの部分を2022年後半に提出する予定です。
  • 2022年4月、バイオジェンは合弁事業であるサムスンバイオエピス社のバイオジェン保有株式について、最高23億ドルに達するサムスンバイオロジクス社への売却を完了しました。うち約10億ドルの現金を取引終了時に受領しました。バイオジェンとサムスンバイオエピス社はともに、欧州におけるBENEPALI™、FLIXABI™、IMRALDI™を含む既存のバイオシミラー製品のポートフォリオの商業化、および全世界の主要市場において近々発売を予定するBYOOVIZ™と申請予定のSB15を含む独占契約を継続します。
  • 2022年第1四半期、Sage社とバイオジェンは大うつ病を対象とするCORAL試験が主要評価項目および主な副次評価項目を達成したことを発表しました。本試験結果によると、zuranolone 50 mgと標準治療(SOC)の抗うつ薬(ADT)の治療を同時に開始した場合、プラセボとSOC ADTの同時治療開始と比較して、3日目および2週間の治療期間のいずれにおいても迅速かつ統計学的有意なうつ症状の軽減を示しました。zuranoloneは総じて良好な忍容性を示し、zuranoloneに起因する新たな安全性に関わる兆候は特定されませんでした。CORAL試験の結果は、標準治療と同時に開始した場合、ADTs単独の治療と比較してうつ病治療のベネフィットを加速させるというzuranoloneの可能性を支持するものです。
  • 2022年第1四半期、バイオジェンとSage社は本態性振戦を対象とするBIIB124(SAGE-324)のKINETIC 2試験を開始しました。KINETIC 2試験は以前の臨床第II相試験からの学びを採り入れた臨床第IIb相用量設定試験で、主な目標は忍容性と振戦軽減効果の持続を両立させる用量を特定することです。
  • 2022年第1四半期、バイオジェンとXbrane Biopharma ABは、シムジア®(セルトリズマブ ペゴル)を先発品とするバイオシミラーで前臨床段階のモノクローナル抗体Xcimzane™の開発、製造、製品化をめざす商業化およびライセンス契約を締結したことを発表しました。シムジアの主要な適応症は成人の関節リウマチで、他に体軸性脊椎関節炎、乾癬、クローン病の適応症があり、製品名はUCB社の登録商標です。本契約の条件により、バイオジェンはXcimzane™の薬事、製造、製品化に関わる世界全体での独占権を取得し、医薬品市販承認取得者になります。
  • 2022年4月、バイオジェンは米国神経学会2022年度年次学術集会で業界屈指のMS治療薬ポートフォリオの新たなデータが発表されていることを公表しました。これらの発表にはタイサブリ®(ナタリズマブ)の実臨床における新規長期データ、およびVUMERITY®の効果持続と治療継続に関する学びが含まれます。その他の発表ではMSの疾患進行を予測する可能性のあるデジタルツールの活用にハイライトを当てています。これらのデータは深刻な神経および神経変性疾患への理解と治療薬を推進するための継続した取り組みに基づいて構築されてり、MS当事者の方の多様なニーズにお応えしようとするバイオジェンのコミットメントを強調するものです。
  • 2022年第1四半期、バイオジェンはスピンラザおよび脊髄性筋萎縮症(SMA)の研究プログラムからの新規データおよびアップデートを筋ジストロフィー協会臨床&科学会議(the Muscular Dystrophy Association Clinical & Scientific Conference)で発表しました。
    • 以前にリスジプラムによる治療を受けた小児、ティーンエイジャー、成人を対象に、開発中のより高用量のヌシネルセンにベネフィットがあるかを評価するASCEND試験は現在患者登録中で、最初の被験者への投与が2022年第1四半期に実施されました。
    • また、被験者のベースラインの特徴から、RESPOND試験に登録された全9名の乳幼児は、オナセムノゲン アベパルボペクの投与を受けた後でも2つ以上の領域で最適に至らない臨床状態であることが示唆されています。その後のヌシネルセンによる治療で新たな安全性に関わる発見はありませんでした。
    • 最後に、新たなNURTURE試験の結果は引き続きSMAの症状発現前の早期治療による長期的ベネフィットの可能性を示しており、今では被験者の92%が単独歩行できるようになり、ほとんどが年齢に応じた時期にそれが可能になっています。

バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業のひとつです。バイオジェンは多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する最初で唯一の治療薬を提供しています。また、生物製剤の高い技術力を活かしてバイオシミラーの製品化を行い、業界内で最も多様な神経科学領域のパイプラインに注力し、進展させており、アンメットニーズが高い疾患領域の患者さんの治療水準に変化をもたらしています。

2020年、バイオジェンは、気候、健康、公平さが深く相互に関連する課題に対して、20年間に2億5000万ドルを投資する大規模な取組みを開始しました。Healthy Climate, Healthy Lives ™は、ビジネス全体で化石燃料の使用をゼロにし、著名な研究機関とのコラボレーションを構築して科学研究を進展させ、人類の健康を改善し、発展途上のコミュニティをサポートすることを目的としています。
バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

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