本資料は、米バイオジェン社が 2021年6月7日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

ADUHELM™(アデュカヌマブ)アルツハイマー病の病理に作用する初めてかつ唯一の治療薬として米国FDAより迅速承認を取得


アミロイドβプラークの脳内蓄積はアルツハイマー病の根本的な原因

臨床試験において、ADUHELMは18カ月でアミロイドβプラークを59~71%減少

2021年6月8日 – バイオジェン(Nasdaq: BIIB、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)とエーザイ株式会社(代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、本日、米国食品医薬品局(FDA)がADUHELM™(一般名:アデュカヌマブ)について、脳内のアミロイドβプラークを減少させることにより、アルツハイマー病(AD)の病理に作用する初めてかつ唯一のAD治療薬として、迅速承認したことをお知らせします。

本迅速承認は、臨床的有用性(臨床症状の悪化抑制)の予測可能性が高いバイオマーカーであるアミロイドβプラークの減少に対するADUHELMの効果を実証した臨床試験のデータに基づくものです。なお、本迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。

バイオジェンのCEOであるミシェル・ヴォナッソスは「この歴史的瞬間は、十年以上にわたる複雑なAD領域における画期的な研究の集大成です。このファースト・イン・クラスの薬剤が、ADと共に生きる方々の治療を変革し、今後、継続的な革新を起こすと確信しています。私たちの臨床試験に参加いただいた何千人ものAD患者様と介護者の皆様のご貢献、ならびに当社のサイエンティストや研究者の献身に心から感謝しております。私たちは、医療関係者やコミュニティと協力して、この新しい薬剤を患者様にお届けし、拡大するグローバルヘルスの危機に対処してまいります」と述べています。

エーザイのCEOである内藤晴夫は「ADの根本原因を突き止めるためのたゆまぬ追求を通じて、エーザイは、1980年代初頭よりAD治療薬の開発に取り組んできました。また、四半世紀以上にわたってAD当事者様に寄り添い、ニーズを理解することに努めてまいりました。ADUHELMの承認によって、AD治療の歴史に新たな1ページを開くことができたことを大変嬉しく思います。本承認により、グローバルヘルス、社会、そして、最も重要な当事者様とご家族の将来に大きな展望や希望をもたらす治療オプションを提供し、認知症エコシステムの進展に大きな一歩を踏み出すことが可能となります」と述べています。

ADUHELMの有効性は、アミロイドの蓄積が確認されたADの初期段階(軽度認知障害および軽度認知症)の患者様を対象とした2つの臨床第Ⅲ相試験;EMERGE(試験1)、ENGAGE(試験2)で評価されました。また、ADUHELMの効果は、プラセボ対照無作為化二重盲検用量設定第Ⅰb相試験であるPRIME(試験3)においても評価されました。これらの試験において、ADUHELMは、一貫してアミロイドβプラークの減少に対する用量依存的かつ投与期間依存的な効果(ENGAGE試験では59%の減少[p<0.0001]、EMERGE試験では71%の減少[p<0.0001]、PRIME試験では61%の減少[p<0.0001])を示しました。

ADUHELMの安全性プロファイルは、1回以上投与を受けた3,000名以上の患者様で十分確認されています。最も多く報告された有害事象は、MRIで観察されるアミロイド関連画像異常(ARIA)でした。ARIA(ARIA-Eおよび/またARIA-H)は、ADUHEL 10mg/kg投与群の41%で、プラセボ群では10%で観察されました。ARIAを生じた方のうち、ADUHELM 10mg/kg投与群では24%、プラセボ群では5%が症候性であり、最も多い症状は頭痛でした。ARIAに関連するその他の症状としては、錯乱、めまい、視覚障害、吐き気などがありました。ADUHELM治療を受けた患者様の少なくとも2%で報告され、かつプラセボ投与群よりも2%以上高い頻度で報告された有害反応は、ARIA-E、頭痛、脳表ヘモジデリン沈着、ARIA-H関連表在性せん妄、転倒、下痢、錯乱/せん妄/精神状態の変化/見当識障害でした。

迅速承認の一環として、バイオジェンはADUHELMの臨床的有用性を検証するAD患者様を対象とした対照試験を実施します。

Neurology and the Memory and Aging Program at Butler HospitalのDirectorであるStephen Salloway博士は、「今回のADUHELMの承認は、AD治療における大きな進歩です。ADUHELMは、脳内のアミロイドβプラークを減らすことで、疾患の病理の1つに対処しています。これからは、ADの当事者と医師は、本治療がそれぞれの方の病態に適切であるか判断し選択できるようになります」と述べています。

UsAgainstAlzheimer'sのChairman and Co-FounderであるGeorge Vradenburg氏は「本日のADUHELMの承認は、この恐ろしい病気を阻止するための戦いにおける革新的な突破口となります。何年にもわたる失望と絶望がありましたが、本承認は多くの家族に新たな希望をもたらし、未来への投資と革新のきっかけとなるでしょう。ADUHELMはADの初期段階の人々を対象としており、米国の医療システム(患者、医療提供者、支払者)が病気の治療における早期発見、診断、薬剤投与に向けた準備ができていることが重要となります」と述べています。

参考資料
米国でのADUHELMの発売に関する詳細は、こちらをご参照ください。

適応症と重要な安全情報

ADUHELMの適応症
アルツハイマー病患者の治療

重要な安全性情報
患者様がADUHELMについて知っておくべき最も重要な情報は何ですか?
ADUHELMは、次のような重篤な副作用を引き起こす可能性があります。アミロイド関連画像異常(ARIA)は、通常は症状を引き起こさない一般的な副作用ですが、重篤になる場合があります。
これは、通常、時間の経過とともに減少する脳内の一時的な浮腫として最も一般的に見られます。一部の人々は、浮腫とともに脳の中または表面上に小さな出血の斑点ができることもあります。脳に浮腫がある人はほとんど症状がありませんが、頭痛、錯乱、めまい、視力の変化、吐き気などの症状が現れる人もいます。患者様への医療提供者は、ADUHELMによる治療前と治療中に磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを行い、ARIAをチェックします。
上記の症状のいずれかがある場合、患者様はすぐに医療提供者に電話するか、最寄りの病院の救急治療室に行く必要があります。

ADUHELMによる治療を受ける前に、患者様は次のような場合を含め、すべての病状について医療提供者に伝える必要があります。妊娠している、あるいは計画している方、母乳育児しているあるいはその計画が有る方。ADUHELMが胎児に害を与えるかどうか、またはアデュカヌマブ (ADUHELMの有効成分)は母乳に移行するかどうかは分かっていません。

ADUHELMで起こりうる副作用は何ですか?ADUHELMは、次のような深刻な副作用を引き起こす可能性があります。上記の「患者様がADUHELMについて知っておくべき最も重要な情報は何ですか?」を参照してください。

深刻なアレルギー反応。ADUHELM投与中に、顔、唇、口、または舌の腫れとじんましんが発生しました。患者様は、ADUHELM投与中または投与後に深刻なアレルギー反応の症状が見られた場合は、担当の医療提供者に報告する必要があります。

ADUHELMの最も一般的な副作用には、脳内または脳の表面の小さな出血の斑点の有無によらず脳の浮腫(ARIA)、頭痛と転倒があります。患者様は、副作用に関する医学的アドバイスをもらうように医療提供者に電話する必要があります。患者様は1-800-FDA-1088により、FDAに副作用を報告することができます。

米国における処方情報投薬ガイドはこちらから入手できます。

投資家Webcast情報
バイオジェンは、2021年6月8日米国東部時間08:00にADUHELMの承認について議論するライブ Web キャストを主催します。ウェブキャストにアクセスするには、バイオジェンのウェブサイトのInvestors.biogen.comのInvestorsセクションにアクセスしてください。ウェブキャストのアーカイブ バージョンは、プレゼンテーションの後に利用できます。

ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)について
ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)は、ヒトモノクローナル抗体で、脳内のアミロイドβプラークを減少させることにより、アルツハイマー病(AD)の病理に作用する初めてかつ唯一の治療薬です。ADUHELMは、ADの治療を適応症としています。本適応症はADUHELMによる治療を受けた患者様のアミロイドβプラークの減少に基づき迅速承認されました。なお、当迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。ADUHELMは、共同開発ライセンス契約に基づき2007年にNeurimmune社から導入されました。2017年10月より、バイオジェンとエーザイは全世界的にADUHELMの開発ならびに製品化を共同で実施しています。

バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、免疫疾患、神経認知障害、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、http://www.biogen.comおよびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

エーザイ株式会社について
エーザイは、本社を日本に置くグローバル製薬企業です。当事者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)・コンセプト」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験を活かし、エーザイ認知症プラットフォームの確立を企図し、医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携して、新たな便益をお届けする「認知症エコシステム」の構築をめざしています。エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。

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