本資料は、米バイオジェン社が 2021年4月7日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

欧州委員会、再発寛解型多発性硬化症の治療薬タイサブリ®(一般名:ナタリズマブ)について、新たに皮下注射製剤の販売を承認

  • タイサブリは確立した高い有効性を持つ治療薬で、今回の承認により、個々の患者さんの希望とニーズに柔軟に対応できる2つの投与経路の提供が可能に
  • 皮下注射製剤は投与時間を短縮ならびに点滴設備なしでの投与を可能にし、患者さんの治療へのアクセスを拡大
  • 今回の承認は、バイオジェンの強固なMS治療薬のポートフォリオにさらなる選択肢を加えるもので、MS患者さんの長期にわたる治療において、最適な臨床アウトカムへの理解を深めようとするバイオジェンの先進的かつ革新的取り組みの一環

米マサチューセッツ州ケンブリッジ、2021年4月7日 – バイオジェン(NASDAQ略称 BIIB)は、欧州委員会(EC)が、再発寛解型多発性硬化症(MS)の治療薬タイサブリ®(一般名:ナタリズマブ)について、皮下(SC)注射製剤の販売を承認したことを発表しました。この新たな投与経路は、タイサブリの長期投与データ、確立された臨床ベネフィット、および十分に特徴づけられた安全性プロファイルを基に、静脈内(IV)投与製剤と同等の有効性と安全性を提供するものです。タイサブリは、高い有効性を持ち投与経路に2つの選択肢を提供できる唯一のMS治療薬で、患者さんと医師に個々のニーズに最も適した製剤を選択する柔軟性をもたらします。

タイサブリはSCおよびIV製剤ともに、300 mgを医療従事者により4週ごとに投与します。SC製剤は、点滴設備がない施設でも患者さんへの投与が可能です。さらにSC製剤はIV製剤と比較してより短時間での投与が可能で、医師は臨床上のニーズに鑑みて、6回の投与後は、注射後の経過観察を短縮または省略することが可能です。また、SC製剤が加わったことにより、COVID-19のワクチン接種とMS治療について主治医と相談することが奨励されている患者さんに、新たな選択肢をもたらすことになります。1,2

デュッセルドルフ大学病院神経内科学教授で神経内科長のスヴェン G. ミュース医師(Sven G. Meuth, M.D., PhD)は次のように述べています。「タイサブリのSC製剤は、MSの疾患活動性のコンロトールにおける選択肢を拡大します。SC製剤は、患者さんにとって意義のある投与時間の短縮とともに、IV製剤と同等の有効性と安全性をもたらすと確信しています。医師にとってSC製剤が実臨床下でタイサブリを処方・投与できることで、より多くの場所で患者さんを治療することを可能にします」。

今回のECによるタイサブリのSC製剤の承認は、タイサブリ 300 mgのIV製剤の4週ごとの投与と同等の有効性、薬物動態、薬力学プロファイルを示したDELIVER試験およびREFINE試験の結果に基づきます。全体として、両試験におけるタイサブリ SCの安全性は、皮下注射で起こり得る注射部位の痛みを除き、総じて他の臨床試験および市販後において十分に確立されたタイサブリのベネフィットとリスクのプロファイルと一貫していました。3,4

バイオジェンのチーフ・メディカル・オフィサーを務めるマハ・ラドハクリシュナン医師 (Maha Radhakrishnan, M.D.)は次のように述べています。「タイサブリは、十分に特徴づけられた安全性プロファイルを有し、有効性の高い信頼できるMS患者さんの治療薬です。リアルワールドで培われた15年近い経験は、MSの疾患活動性を改善する有効性への認識を強めるもので、早期の治療がより良い臨床アウトカムにつながることが示されています。MSのような慢性疾患において、私たちは患者さんがそれぞれの生活に治療をより良く組み合わせることができるようなイノベーションを追求し続けねばなりません。今回の承認は、タイサブリの新たな可能性を模索し、進化し続けるMS患者さんのニーズを満たすことに対応する私たちのコミットメントを反映するものです」。

2006年にECから承認されたタイサブリの有効性と安全性は、臨床試験や15年近くにわたり集積された豊富なリアルワールドエビデンスによって示されてきました。その間、バイオジェンはMS PATHSネットワークやタイサブリ観察研究プログラム(TOP)等の取り組みを通じた研究を開始しました。これらの取り組みは、十分に特徴づけられた安全性プロファイルを有する評価の確立した高い有効性を持つMS治療薬として、タイサブリについてのより多くの情報を医師や患者さんに提供し、その臨床データを拡大してきました。

タイサブリ®(一般名:ナタリズマブ)について
タイサブリは、成人の再発型多発性硬化症(MS)の治療薬として十分に評価の確立された治療薬で、身体障害の進行を抑制する効果、新たな脳病変の発生を減少させる効果、および再発を低下させる効果が臨床試験で示されています。欧州連合では、タイサブリは疾患活動性の高い再発寛解型MS(RRMS)の成人患者の疾患修飾治療薬(DMT)として単剤での適応が認められており、一つ以上のDMTによる完全かつ十分な治療コースを経たにもかかわらず高い疾患活動性を有する患者さん、または急速に進行する重篤なRRMS が対象です。米国では、タイサブリは再発型MSの治療薬として単剤療法としての適応が認められています。タイサブリは80か国で承認されており、世界中で治療を受けた患者数は約21万3000名にのぼり、臨床試験および処方データに基づき、83万5000人・年以上の経験があります。5

タイサブリは、脳の稀な日和見ウィルス感染症で死亡または重篤な身体障害に関与する進行性多巣性白質脳症(PML)のリスクを上昇させます。PMLのリスクを上昇させるリスク因子は、抗JCV抗体の存在、免疫抑制剤の前投与、およびタイサブリによる長期間の治療です。3つのリスク因子を全て備えた患者さんは、PMLの発症リスクが最も高いといえます。タイサブリによる治療を開始、継続する場合、医師はタイサブリで期待されるベネフィットがこのリスクを上回るかどうか十分に検討する必要があります。

またタイサブリは、単純ヘルペスと水痘帯状疱疹ウィルスによる脳炎と髄膜炎の発症リスクを高め、タイサブリの投与を受けているMS患者さんの市販後調査において重篤で生命を脅かす症例、時として致命的な症例が報告されています。移植を必要とした急性肝不全を含む、臨床的に重篤な肝障害も市販後に報告されています。その他の重篤な有害事象には、過敏性反応(例:アナフィラキシー)、リンパ球数の減少、日和見感染やその他の非定型感染を含む感染症があります。

EUにおけるタイサブリの処方情報はこちらのサイトを参照してください:
https://ec.europa.eu/health/documents/community-register/html/h346.htm.
また、米国におけるタイサブリについて、枠付きの警告文を含む重要な安全性情報はこちら:Important Safety Information、薬物治療ガイド Medication Guide を含む処方情報全体はこちらを参照してください:full Prescribing Information
さらに各国の製品ウェブサイトも参照してください。

バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、神経精神疾患、免疫疾患、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。
バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体Twitter , LinkedIn , Facebook , YouTube をご覧ください。

参考文献
  1. National Multiple Sclerosis Society. COVID-19 Guidance for People Living with MS. Available at: https://www.nationalmssociety.org/coronavirus-covid-19-information/multiple-sclerosis-and-coronavirus/covid-19-vaccine-guidance. Accessed: January 2021.
  2. Multiple Sclerosis International Federation. MS, the coronavirus and vaccines – updated global advice. Available at: https://www.msif.org/news/2020/02/10/the-coronavirus-and-ms-what-you-need-to-know/. Accessed: January 2021.
  3. Plavina T, Fox EJ, Lucas N, et al. A Randomized trial evaluating various administration routes of natalizumab in multiple sclerosis. J Clin Pharmacol. 2016;56(10):1254-1262.
  4. Trojano M, Ramió-Torrentà L, Grimaldi LM, et al. A randomized study of natalizumab dosing regimens for relapsing–remitting multiple sclerosis. Alternatives. April 2021:63-92. doi: 10.1177/03043754020270S105.
  5. Combined post-marketing data based on prescriptions and clinical trials exposure to TYSABRI as of July 31, 2020.
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