本資料は、米バイオジェン社が 2020年8月6日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

バイオジェン、パーキンソン病を対象とするLRRK2および神経変性疾患を対象とする輸送体プラットフォームプログラムでデナリ社と提携

  • バイオジェンは、デナリ社の低分子LRRK2阻害薬プログラムを共同で開発し市場化する権利を取得し、パーキンソン病および他の運動障害疾患の治療薬候補のパイプラインを拡充。
  • バイオジェンは、デナリ社の血液脳関門の通過性を高めるTVテクノロジーのプラットフォーム(対象にはアミロイドベータを含む)を使用する神経変性疾患対象の2つのプログラムの独占的オプション権に加えて、さらに2つの非公開のTVプラットフォームを活用するプログラムの第一交渉権を取得。
  • デナリ社は、5億6000万ドルの前払一時金と4億6500万ドルの株式投資の受領に加えて、マイルストン支払い、利益分配、ロイヤリティを受領する可能性を取得。

米マサチューセッツ州ケンブリッジおよびカリフォルニア州サウスサンフランシスコ、2020年8月6日 – バイオジェン(NASDAQ略称BIIB)と、デナリ・セラピューティクス・インク(NASDAQ略称DNLI、以下デナリ社)は、パーキンソン病を対象とするデナリ社の低分子ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2) 阻害薬を共同で開発し製品化するための、拘束力のある契約を締結しました。またバイオジェンは、デナリ社の所有する2つのプログラムを選択する権利、および他の2つのプログラムについての第一交渉権を取得します。いずれも神経変性疾患を対象とするもので、デナリ社の血液脳関門(BBB)の通過性を高める輸送体(TV)テクノロジーを活用します。

バイオジェンの最高経営責任者(CEO)であるミシェル・ヴォナッソスは次のように述べています。「デナリ社との提携は、パーキンソン病の進行を抑制するファーストインクラスの経口治療薬の開発を推進する機会となります。デナリ社のLRRK2阻害薬プログラムは、当社の既存のパーキンソン病治療薬のパイプラインを強く補完するもので、同社の高い開発力は、重篤な神経疾患および神経変性疾患に対するバイオジェンの治療薬ポートフォリオを強化してくれます。私たちは、神経疾患領域におけるバイオジェンの能力とインフラストラクチャーと、デナリ社の科学的専門能力を活用し、このプログラムの進展を加速させることを楽しみにしています」。

デナリ社の最高経営責任者(CEO)であるライアン・ワッツ博士は次のように述べています。「私たちは、神経疾患治療薬の創薬と開発で輝かしい実績を誇るバイオジェンとの提携に大いに期待しています。この提携は、当社のLRRK2プログラムの開発を加速し、神経変性疾患に苦しむ患者さんに革新的な医薬品をお届けするという目標の下、一つに融和した組織を築くためのリソースをもたらしてくれます」。
今回の契約により、バイオジェンはパーキンソン病を対象とするデナリ社の低分子LRRK2阻害薬を同社と共同で開発し市場化します。バイオジェンとデナリ社は米国および中国でLRRK2阻害薬を共同で製品化し、バイオジェンは他の全ての市場での製品化を担います。DNL151は、2021年の開始をめざす後期段階の臨床試験に進むことが決定しています。

LRRK2遺伝子の変異はパーキンソン病を引き起こしうることが知られています。LRRK2は、リソソーム機能の調節遺伝子で、パーキンソン病においては正常に機能しないために神経変性が起きている可能性があります。LRRK2の活性を阻害することで、リソソーム機能を回復して、既知の遺伝的リスクの有無に関わらず、パーキンソン病患者さんの病状進行を遅らせることが期待されます。パーキンソン病の患者さんは、振戦、動作緩慢、筋肉のこわばり、平衡障害等の数多くの症状を経験します。これらの症状は徐々に進行し、患者さんは歩行や会話、またその他の単純な動作を行うことが困難になります。パーキンソン病は神経変性疾患では2番目に多い疾患で、疾患の進行を抑制する治療薬が存在しないために非常に大きなアンメットニーズがあります。

LRRK2阻害薬のプログラムに加えて、バイオジェンはデナリ社のTVプラットフォームから、バイオ治療薬の脳への移行性を高めることを目指す2つの前臨床段階のプログラムを導入する独占的オプション権も取得します。その2つには、デナリ社の抗体輸送体(ATV)のAbetaプログラム(ATVを活用できるようにした抗アミロイドベータプログラム)と、同社のTVテクノロジーを利用した2つ目のプログラムが含まれます。またバイオジェンは、さらに2つの現在前臨床段階にあるTVを活用した治療薬候補について、デナリ社が提携先を模索すると決定した場合の第1交渉権も取得します。デナリ社のTVプラットフォームは、抗体、酵素、タンパク質、オリゴヌクレオチド等の高分子治療薬が静脈内投与後に血液脳関門を効果的に通過できるよう設計された同社の独占的テクノロジーです。

提携契約の内容について
本契約の条件により、バイオジェンはデナリ社に対して5億6000万ドルの前払一時金の支払いに加えて、4億6500万ドルの株式投資を行い、1株約34.94ドルでデナリ社の普通株式1330万株の新規発行を引き受けます。これにより、デナリ社の見積もり発行済株式の11.2%を所有することになります。

LRRK2阻害薬プログラムが特定の開発および市場化のマイルストンを達成すれば、デナリ社はマイルストン支払いとして最大で11億2500万ドルを受領する権利を有します。

LRRK2プログラムの提携において、バイオジェンとデナリ社は世界全体における開発の責任とコストを分担し(バイオジェンが60%;デナリ社が40%)、米国と中国における製品化のための責任とコストおよび損益を分担します(米国ではバイオジェンが50%;デナリ社が50%、中国ではバイオジェンが60%;デナリ社が40%)。米国と中国以外では、バイオジェンが市場化に責任を持ち、デナリ社に段階的なロイヤリティを支払います。

本取引の完了は、1976年合衆国ハート・スコット・ロディノ(HSR)反トラスト強化法を含む独占禁止法に基づく審査の完了を条件とします。

デナリ社のLRRK2 DNL151 プログラムについて
DNL151はデナリ社が創製した低分子のLARK2阻害薬で、同社は進行中の第I相臨床試験で162人の健康被験者への投薬を完了し、第Ib相臨床試験で25人のパーキンソン病患者への投薬を完了しました。デナリ社は現在、DNL151の治療域を特定するために、拡大第I相試験におけるさらなる用量増加コホートへの投薬、および第Ib相試験における追加コホートへの投薬を完了しつつあります。これまでにヨーロッパで収集された臨床データに基づき、DNL151は容認できる安全性と忍容性のプロファイルを有することがうかがわれ、期待されたターゲットに対する作用においても目標を達成しています。DNL151の治験許可申請は2020年7月に米国食品医薬品局により承認され、DNL151の治験を世界的に拡大することが可能になりました。

バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、免疫疾患、神経認知障害、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。
バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

デナリ・セラピューティクスについて
デナリ・セラピューティクスは、神経変性疾患を対象に血液脳関門(BBB)の通過性を高めるために設計された幅広い製品候補のポートフォリオを有するバイオ医薬品会社です。デナリ・セラピューティクスは、遺伝子的に検証されたターゲットを綿密に評価し、BBBの通過性を高めるよう設計を行い、ターゲットやその経路への作用を示すバイオマーカーを指標に開発を進めることで、新規治療薬を探索しています。デナリ・セラピューティクスはサウスサンフランシスコに本社を置いています。より詳しい情報については、www.denalitherapeutics.com をご覧ください。

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