- ゾルゲンスマ®の長期フォローアップ試験および実臨床での経験から、遺伝子治療を受けた患者さんの中に、その後スピンラザ1,2,3の治療を受けている患者さんが存在することが判明
- RESPOND試験は、ゾルゲンスマにより最適な臨床的効果が得られない患者さんにおけるスピンラザの有効性と安全性を評価することを目的に実施
- バイオジェンは、脊髄性筋萎縮症(SMA)に対するニーズに取り組み、情報に基づいて治療方針を決定できるような追加データを提供するために、この疾患の研究を引き続き促進
米マサチューセッツ州ケンブリッジ、2020年7月21日 – バイオジェン(NASDAQ略称BIIB)は、ゾルゲンスマ®(オナセムノゲン アベパルボベク)による遺伝子治療を受けた後もなお臨床上のアンメットニーズのある脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳幼児および小児患者に対するスピンラザ®(ヌシネルセン)の臨床上のベネフィットを検討し安全性を評価するために、国際共同第IV相試験であるRESPOND試験を開始する計画を発表しました。
バージニア州キングズ・ドーターズ子ども病院の小児神経筋疾患を専門とする神経科医で、RESPOND試験運営委員会メンバーのクリスタル・プラウド医師は次のように述べています。「私たちは臨床医として、SMAの乳幼児および小児患者のためにより良い治療効果を継続して追求しており、遺伝子治療を受けた患者さんの一部にさらなるベネフィットが必要であることを確認してきました。これらの患者さんに対してスピンラザがさらなる有効性をもたらす可能性があることが、説得力のある臨床上の論理的根拠により示唆されています。私たちは、RESPOND試験がSMA患者さんの中でも最も若い層の患者さんのために、十分な情報に基づいて将来の治療方針を決定できる価値あるデータを生み出すことを期待しています」。
SMAの患者さんは、座位や歩行および呼吸や嚥下を含む基本的な日常動作をサポートする運動ニューロンの維持に不可欠なSurvival Motor Neuron(SMN)タンパクの発現が不十分です。RESPOND試験は、スピンラザの証明された有効性とそれが継続して発現させるSMNタンパクが、遺伝子治療を受けた後の患者さんにもベネフィットをもたらすかどうかを理解するためのものです。
バイオジェンのチーフ・メディカル・オフィサーであるマハ・ラドハクリシュナン(M.D.)は次のように述べています。「現在得られているデータは、ゾルゲンスマの長期試験の被験者の中にスピンラザの治療に移行した患者さんがいることを示しています。私たちは、一部の患者さんにおいて遺伝子治療では運動ニューロンの治療が不十分であるかもしれないと考えており、スピンラザがどの程度まで治療効果を改善する可能性があるかを理解するために本試験を開始することを計画しています。発売以来スピンラザがもたらしたインパクトはSMAの自然経過と比較して類を見ないものであり、NURTURE試験に登録されたSMA発症前に治療を開始した小児*の100%がほぼ5年経過後も生存しています。現在までに世界全体で1万人以上のSMA患者さんがスピンラザの治療を受けています」。
ゾルゲンスマの長期試験においては、これまでに10人のうち4人の患者さんが後にスピンラザの治療を受けていることが報告されています1。RESPOND試験は、情報に基づく治療方針決定を推進するために、計画されている試験デザインに基づいて、ゾルゲンスマの治療を受けた後のSMA患者さんに対するスピンラザの有効性と安全性を評価するための2年間の非盲検試験です。有効性は、運動機能評価、獲得された臨床的指標(例:嚥下等)、および介護者の負担について、ベースラインからの変化によって評価されます。探索的評価項目であるニューロフィラメントのレベルも、生物学的疾患活動性のマーカーとして評価されます。主要な被験者グループとして、スピンラザの最初の投与を受ける時点で月齢が9か月以下、SMN2遺伝子を2コピー有し(I型SMAを発症する可能性が高い)、月齢6か月以前にゾルゲンスマの治療を受けた乳児40人の登録を目指します。副次的な被験者グループとして20人の小児を登録し、より幅広い年齢層の被験者(スピンラザの最初の投与を受ける時点で3歳まで)におけるデータを創出します。被験者はスクリーニング期間の後、スピンラザの承認された用量である12 mgを、2年間の試験期間中に4回の負荷投与とその後4か月毎の維持投与を受けます。4
*日本では適応外
バイオジェンは今後数か月以内にRESPOND試験のプロトコルを規制当局に申請する予定で、2021年第1四半期に最初の適格な被験者登録を目指します。本試験では、ゾルゲンスマの治療を受けた後にさらなる臨床上の改善を示す可能性があると治験担当医師が判断した3歳までの60人の小児を登録する計画です。医師は以下のうち少なくとも1つを含む基準を用いて小児を本試験に登録するかどうかを評価します: 最適でない運動機能(例: フィラデルフィア小児病院乳児神経筋疾患検査[CHOP INTEND] のスコアが50未満); 呼吸サポートの必要性; 嚥下または摂食の異常; その他治験担当医師が適切とする要素。
スピンラザ® (ヌシネルセン)5-7 について
スピンラザは脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳幼児、小児および成人の治療の適応症で承認された初めての治療薬で、世界50カ国以上で承認されています。2020年3月31日現在、10000人以上がスピンラザによる治療を受けています。スピンラザは、広範な患者集団にわたって最大規模のリアルワールドでの経験と強固な臨床エビデンスを兼ね備えた最初のSMA治療薬です。
SMAは遺伝子変異による希少な神経筋疾患です。その特徴は、脊髄および下位脳幹における運動ニューロンの喪失であり、重症化し進行すると筋萎縮と衰弱に至ります。約1万人に1人が出生時にSMAと診断されますが、この疾患の影響はすべての年齢層におよびます。SMAは遺伝的要因による乳幼児の死亡原因で最も多いものの一つです。
スピンラザはSMAの基盤となる治療であり、IONIS(アイオニス)・ファーマシューティカルズ社の特許技術を用いて、運動ニューロンの維持に不可欠な全長Survival Motor Neuron (SMN) タンパクの量を増やすことでSMAの根本原因を標的にするよう設計された、アンチセンス・オリゴヌクレオチド (ASO) の一種です。スピンラザは髄腔内注射によって運動ニューロンが存在する脊髄を取り囲む体液に投与されます。それにより、スピンラザが疾患の発症部位に到達します。
スピンラザは現在、SMAにおける豊富な臨床データセットを保持しています。そこでは、300人以上の被験者からなる幅広いSMA母集団において好ましいリスク・ベネフィットプロファイルが示されています。スピンラザはまた、乳児型と遅発型SMAの被験者において、2つの無作為化・二重盲検・シャム対照試験(それぞれ、ENDEAR試験とCHERISH試験)で評価されました。また、発症前の乳幼児(NURTURE試験)、および遅発型SMA被験者(CS2/CS12)におけるオープンラベル試験、そして以前の臨床開発プログラムに参加した被験者における延長試験(SHINE試験)によっても支持されています。最も多く観察された有害事象は、呼吸器感染症、発熱、便秘、頭痛、嘔吐、腰痛でした。過敏症、髄膜炎、水頭症が市販後に観察されています。腎毒性や、急性で重篤な血小板数減少などを含む血液凝固障害が、いくつかのASO薬投与後に観察されています。臨床検査により、こうした兆候をモニターすることができます。
バイオジェンは、スピンラザを開発・製造・商業化するためのグローバルな権利を、アンチセンス医療のリーダーの一つであるアイオニス・ファーマシューティカルズ社(ナスダック略号:IONS)から供与されています。バイオジェンとアイオニスはスピンラザを初めてヒトに投与した革新的な臨床開発プログラムを2011年から実施し、5年で最初の薬事承認を取得しました。
バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、免疫疾患、神経認知障害、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。
バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。
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- Finkel R, et al. Presented at the Muscular Dystrophy Association’s (MDA) 2020 Clinical & Scientific Conference.
- Harada Y, et al. Presented at the Muscular Dystrophy Association’s (MDA) 2020 Clinical & Scientific Conference.
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- Finkel R, Chiriboga C, Vajsar J, et al. Treatment of infantile-onset spinal muscular atrophy with nusinersen: a phase 2, open-label, dose-escalation study. Lancet. 2016;388(10063):3017-3026.
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