本資料は、米バイオジェン社が2019年1月29日(現地時間)に発表したプレスリリースを抜粋し、日本語訳として発表させていただくものです。よって必ずしも日本の状況を反映したものでないことをご了承ください。内容につきましては原本である英文が優先します。プレスリリースの英語全文 につきましては、米バイオジェン社のウェブサイトをご覧ください。

 

バイオジェン、2018年度通年および第4四半期ともに記録的な売上を達成135億ドル(通年)と35億ドル(第4四半期)

2018年度の売上増10%は主としてスピンラザ®が牽引
2018年度のGAAP EPSは81%増;非GAAP EPSは20%増
2018年には6つの臨床プログラムをパイプラインに追加
筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対するBIIB067のポジティブな第I相試験データを発表

米マサチューセッツ州ケンブリッジ、 2019年1月29日 – バイオジェン(NASDAQ略号BIIB)は、2018年度通年および第4四半期の業績を発表しました。

バイオジェンのミシェル・ヴォナッソス最高経営責任者(CEO)は、次のように述べています。「2018年度、バイオジェンは戦略的優先事項と財務目標を達成しました。私たちは、パイプラインにある候補品目の開発・拡充を大幅に進捗させただけでなく、多様な手法を通じて、治療薬を患者さんにお届けするという目標を進捗させました。また、スピンラザが世界各国で強力な浸透を続けたこと、バイオシミラー事業の大きな伸長、および中核ビジネスである多発性硬化症(MS)事業の回復力により、通年での売上を着実に伸ばしました。当社の強力な基盤ビジネスは、深く多様化した神経科学領域のパイプラインを含め、今後の機会を十分に生かせるようバイオジェンの事業体制を整えました。これまで通り、株主のために長期的な投資効率を最大化させるという目的に向け、私たちは資本の効率的かつ適切な配分に集中することを継続しました」。

 

財務成績

  • 通年の総売上は135億ドルで、対前年で10%増加しました。
    • 前年91億ドルだったMS領域製品の通年の売上は、OCREVUS®の売上に基づくロイヤルティ、4億7800万ドルを含め、比較的堅調に推移しました。
      • 2018年度第4四半期のMS領域製品の売上は、OCREVUSの売上に基づくロイヤルティ1億5200万ドルを含め、前年同期比2%増の23億ドルとなりました。
    • 通年の売上増を牽引したのは、主としてスピンラザが世界各国で継続的に発売されたことによるものです。売上は前年の8億8400万ドルから17億ドルに増加しました。
  • バイオジェンの通年のGAAP純利益および希薄化後1株当たり利益(EPS)は、それぞれ44億ドルと21.58ドルでした。前年はそれぞれ25億ドルと11.92ドルでした。
    • バイオジェンの2017年度通年のGAAP純利益および希薄化後EPSは、それぞれ12億ドルと5.51ドルというマイナスの影響を受けました。その原因は、法人税法改正による当社の純繰延税金資産の再査定等によるものです。
  • バイオジェンの2018年度通年の非GAAP純利益および希薄化後EPSは、それぞれ54億ドルと26.20ドルでした。前年はそれぞれ46億ドルと21.81ドルでした。

ヴォナッソスは、引き続き次のように述べています。「私たちは、神経科学の分野での複数のフランチャイズの構築を続けていますが、アルツハイマー病以外の中核成長分野においてもその取組みを深め、強力なモメンタムを示しました。SOD1 ALSに対するBIIB067のポジティブなデータは、画期的なサイエンスを利用し、これまでは治療不可能だった疾患に対する可能性を引き立てるものです。また、神経筋疾患と運動障害をさらに追求するという私たちの戦略の事例となるものです。今後12-18カ月間で、私たちはMS、進行性核上性麻痺(PSP)、アルツハイマー病の臨床プログラムから複数の重要なデータのリードアウトを行う予定です。

売上のハイライト

  • 2018年度第4四半期、米国におけるテクフィデラ、アボネックス、PREGRIDY、タイサブリの流通在庫レベルは合計でおよそ1億1500万ドル増加しました。これは、2018年第3四半期に比べると比較的安定的であり、2017年度第4四半期よりもおよそ5000万ドル増加しています。
  • 2018年度第4四半期、スピンラザの売上は米国で2億3600万ドル、米国外では2億3400万ドルでした。スピンラザの投与を受けている患者さんの数は、2018年度第3四半期に比べ、米国で約9%、米国外で約18%増加しました。2018年度第4四半期、バイオジェンはスピンラザの売上を40カ国以上で計上しました。米国外におけるスピンラザの売上は、特定市場における負荷投与に起因する量的減少、特定の流通関係者における出荷のタイミング、特定市場における薬価変動などの要因により、マイナスの影響を受けました。

 

最近のハイライト

  • 2019年1月、バイオジェンとスカイホークセラピューティクス社(以下スカイホーク社)は提携と研究開発業務に関して合意し、さらに両社はスカイホーク社のスカイスターテクノロジープラットフォームを利用して革新的な低分子RNAスプライシング修飾因子の発見に取り組むことになります。この因子はMS、脊髄性筋萎縮症(SMA)などの神経学的疾患が対象となります。バイオジェンはスカイホーク社に前払い金7400万ドルに加えてマイルストーンと潜在的なロイヤルティを今後支払う予定です。バイオジェンは、この提携に関して、2019年第1四半期に研究開発費3500万ドルを計上する予定です。前払い金の残余は、将来の研究業務に割り当てられます。
  • 2018年にバイオジェンは6つの臨床プログラムを神経科学のパイプラインに加えました。具体的には:
    • C9ORF72関連ALSに対するBIIB078 (IONIS-C9Rx)
    • SMAのような疾患に対する、筋肉増強剤BIIB110 (ActRIIA/Bリガンド・トラップ)
    • 急性虚血性脳卒中に対するTMS-007入手のオプション権
    • 統合失調症関連認知障害(CIAS)に対するBIIB104 (AMPA受容体増強物質)
    • 小径線維ニューロパチーに対するBIIB074 (vixotrigine)
    • 神経障害性疼痛に対するBIIB095
  • 2018年12月、バイオジェンとC4セラピューティクス社(C4T社)は提携と研究開発業務に関して合意し、C4T社の新規タンパク質分解プラットフォームを使ってアルツハイマー病やパーキンソン病など神経学的疾患の新薬候補を探索発見・開発する方法を探ることとしました。バイオジェンはC4T社に最大4億1500万ドルの前払い金と、追加マイルストーンおよび潜在的ロイヤルティを支払います。バイオジェンはこの提携に関連して、2018年第4四半期に1700万ドルの研究開発費を計上しました。
  • 2018年12月、バイオジェンはナタリズマブのグローバル第IIIb相試験に最初の患者さんを登録しました。この試験の目的は、再発型MSの患者さんにおいて、ナタリズマブの間隔延長投与(EID)の有効性と安全性を標準間隔投与(SID)と比較・評価することです。ナタリズマブ300㎎はタイサブリ®という製品名で販売されており、4週間隔の投与方法で承認されています。本試験はNOVAと呼ばれ、2年間のプロスペクティブ、無作為化、介入、比較対照、オープンラベル、評価者盲検、グローバル第IIIb相試験として、再発寛解型MSの患者さんに対するナタリズマブ6週間隔投与の有効性を評価するものです。主要評価項目は48週目の新規あるいは新たに拡大したT2高信号病変数を測定することです。本試験は「EIDが進行性多巣性白質脳症(PML)リスクの有意な減少に関与する」ということが示された観察データの解析後に開始されました。PMLは脳の重篤な希少疾患です。本試験の目的はナタリズマブの間隔延長投与の有効性を評価してこの医薬品のリスク・ベネフィットプロファイルをさらに評価することです。
  • 2018年12月、バイオジェンは三叉神経痛(TGN)におけるBIIB074 (vixotrigine)の第III相試験計画案について米食品医薬品局(FDA)からフィードバックを受領しました。現在、バイオジェンは、TGNを対象としたvixotrigineの第III相試験を2019年末までに開始する予定です。
  • 2018年12月、バイオジェンとアルカミーズ社は「アルカミーズ社が diroximel fumarate (BIIB098)の新薬承認申請(NDA)をFDAに提出した」ことを発表しました。BIIB098は、再発型MS治療薬として開発中の新規経口フマル酸です。アルカミーズ社は505(b)(2)規制経路のもとでdiroximel fumarateの承認を求めています。また、FDAへの提出資料にはEVOLVE-1からのデータが含まれています。EVOLVE-1はdiroximel fumarateを投与された約700名の患者さんにおいて再発寛解型MSでの長期的安全性を評価した第III相ピボタル試験です。承認されれば、バイオジェンはdiroximel fumarateをVUMERITY™という製品名で販売する方針です。この名称は、FDAによって条件付きで許可されており、承認されれば正式な名称となります。
  • 2018年12月、バイオジェンはApplied Genetic Technologies Corporation (AGTC)にAAVベース遺伝子治療の開発に関する提携契約の打ち切りを通知しました。本AAVベース遺伝子治療は、X連鎖網膜分離症(XLRS)やX連鎖網膜色素変性症など眼科希少疾患を対象としていました。この決定は、ポートフォリオの優先順位決定に伴うもので、XLRSにおける第1/2相試験からのトップライン・中間・6カ月データにて臨床的活性が示されなかったことを受けたものです。契約は2019年3月で失効します。
  • 2018年12月、バイオジェンはALSに対するBIIB067の無作為化・プラセボ対照・単一および複数用量漸増試験(n=70)の中間解析からポジティブな第I相試験データを報告しました。この試験では、BIIB067の生物学的実証と概念実証が達成されました。BIIB067は、SOD1変異のあるALSに対して開発中の治療薬です。試験での最大用量群(n=10)では、BIIB067による3カ月にわたる治療で脳脊髄液中のSOD1タンパク質レベルが統計学的に有意な低下を示しました(p=0.002)。また、3つの有効性評価項目全般において、プラセボ比で数値的な傾向が示されました(n=12)。
    • 臨床的低下の緩慢化(ALS機能評価尺度改訂版による測定)
    • 呼吸機能低下の緩慢化(ゆっくり排気して測定する肺活量による測定)
    • 筋力低下の緩慢化(ハンドヘルドダイナモメーターによる測定)
    バイオジェンはIONIS(アイオニス)社に3500万ドルの前払い一時金を支払いました。オプション権を行使してBIIB067を開発・製品化するためのロイヤルティ付き世界的独占権を入手することが目的です。バイオジェンは承認申請の可能性を考慮し、この試験にコホートを追加する予定です。
  • 2018年12月、バイオジェンは統合失調症関連認知障害(CIAS)を対象とするAMPA受容体増強物質BIIB104の第IIb相試験の最初の患者さんに投薬を行いました。
  • 2018年12月、バイオジェンは、PLEGRIDYの筋肉注射での曝露量が皮下注射と比較して維持されるかどうかを検証するため、生物学的同等性試験を開始し、最初の患者さんに投薬を行いました。PLEGRIDYの筋肉注射剤の開発は、注射部位反応を減らすことを目的にしています。
  • 2018年11月、バイオジェンは2018年度インターナショナル・ガリアン賞のベスト・バイオテクノロジー製品賞を受賞しました。授賞製品は世界初にして唯一のSMAの疾患修飾薬であるスピンラザです。同製品のガリアン賞受賞は、米国、ドイツ、イタリア、ベルギー/ルクセンブルグ、オランダ、英国に次いで7回目となります。インターナショナル・ガリアン賞は2年に一度、国際ガリアン賞委員会によって、人の健康に寄与する科学的革新に対して授与されるものです。
  • 2018年10月、バイオジェンはアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)および軽度アルツハイマー型認知症治療薬候補であるアデュカヌマブについて、現在進行中の第Ib相試験の長期継続投与(LTE: long-term extension)試験の36カ月と48カ月の詳細解析結果を、スペインのバルセロナで開催された「アルツハイマー病臨床試験会議」(CTAD: Clinical Trials on Alzheimer’s Disease)で発表しました。Late Breakingとして採択された口頭発表およびポスター発表には、アデュカヌマブの投与を最長36カ月、または最長48カ月受けた患者さんのデータが含まれています。両解析から得られたポジトロン放出断層撮影法(PET)により測定されたアミロイド蓄積のデータは、いずれも用量依存的ならびに経時的な減少を示しました。さらに、探索的臨床評価項目である臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB)およびミニメンタルステート検査(MMSE)による解析では、持続的な臨床症状進行の遅延が36カ月および48カ月にわたって示唆されました。それぞれの投与群の結果は、全般的に以前に報告した本試験の解析との一貫性が確認されました。また、アデュカヌマブのリスク・ベネフィットのプロファイルに変化はありませんでした。
  • 2018年10月、バイオジェンの提携先であるエーザイ株式会社は、抗アミロイドベータ・プロトフィブリル抗体BAN2401の第II相臨床試験(スタディ201)で得られた最新データを発表しました。この試験は早期ADの患者さん856名において実施されたもので、発表はCTADで10月25日に開催されたシンポジウム「早期アルツハイマー病を対象としたBAN2401の臨床第II相試験:臨床症状およびバイオマーカー結果のアップデート」で行われました。この試験では、その主要評価項目は達成されていませんが、これはより早く12カ月間の第III相試験を開始できる可能性があったベイジアン解析に基づいて設計されていました。トップラインでの18カ月の最終結果の従来の統計的解析から、最高用量群で統計的に有意な脳内アミロイドの減少がPETにより示されました(p<0.0001)。この用量では、18カ月時点において対プラセボ比で30%という臨床的低下の統計的に有意な緩慢化も示しました(尺度はADCOMS)(p=0.034)。また、エーザイはAPOE4陽性対陰性患者さんの比較も含めた、予め特定化されたサブグループにおける臨床的アウトカム尺度の解析も発表しました。

 

バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、SMAの唯一の治療薬を製品化しました。また、アルツハイマー病、神経免疫疾患、運動性疾患、神経筋障害、痛み、眼科、神経精神医学といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。生物製剤の高い技術力を活かし、バイオジェンは高品質のバイオシミラーの製造と製品化にも注力しています。

当社に関する情報については、www.biogen.com およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

 

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