- RESPOND試験の暫定結果でゾルゲンスマ® (オナセムノゲンアベパルボベク)による治療後にスピンラザ投与を受けた参加者の大部分が運動機能の改善を示した
- バイオジェンは新たな実臨床でのエビデンスと、患者さんの治療経験を改善する新規デバイス開発の進展も報告
マサチューセッツ州ケンブリッジ、2023年6月30日 ‐ バイオジェン(NASDAQ略称BIIB)は、脊髄性筋萎縮症(SMA)に関わるコミュニティの重要な臨床的疑問に答えることを目指すスピンラザ® (ヌシネルセン)の新たなデータを発表しました。このデータは、フロリダ州オーランドで開催されたCure SMAのSMA研究&治療学会で発表されました。
バイオジェンのチーフ・メディカル・オフィサーであるマハ・ラドハクリシュナン(Maha Radhakrishnan, M.D.)は次のように述べています。「Cure SMAの年次学術集会は、参加している医療関係者、患者さん、介護者と繋がり、学び、SMAコミュニティのアンメットニーズに応えるための研究成果を共有する貴重な機会です。私たちは、遺伝子治療後のスピンラザ投与がもたらす臨床上のベネフィットと安全性を評価するRESPOND試験の暫定結果を含む新しいデータを発表できたことを嬉しく思います」。
RESPOND試験の暫定的臨床アウトカム
RESPOND試験は、ゾルゲンスマ® (オナセムノゲンアベパルボベク)による治療後に臨床上のアンメットニーズを有するSMAの乳幼児に対するスピンラザ治療後の臨床アウトカムと安全性を評価するための、継続中の2年間の臨床第IV相オープンラベル試験です。スピンラザの治療を受けた29人*の参加者の6ヵ月後の有効性に関する暫定的な結果は以下のとおりです:
- 大部分の参加者で、ハマースミス幼児神経学的検査セクション2(HINE-2)スコア総計のベースラインからの平均改善値で測定した運動機能が改善
- SMN2遺伝子のコピー数が2の参加者(n=24)は、HINE-2のスコアが平均5ポイント以上改善
- SMN2遺伝子のコピー数が3の参加者(n=3)全員のスコアが改善; 参加者数が少数のため、ベースラインからの変化の平均値は計算せず
- 治験責任医師がベースラインの運動機能が最適でないと報告した参加者の大部分(27人中25人)が改善
本試験開始後の日数の中央値が230.5日の時点で、38人中13人(34%)の参加者で重篤な有害事象(AE)が報告されました。スピンラザに関連する、あるいは試験の中断に至った重篤なAEはありませんでした。ゾルゲンスマ治療後にスピンラザを投与された参加者で新たに特定された安全性の懸念はありませんでした。RESPOND試験のその他の暫定的臨床アウトカムが本学会で発表されています。
キングス・ドーターズ小児病院の小児神経科医であるクリスタル・プラウド医師(Crystal Proud, M.D.)は次のように述べています。「遺伝子治療が全ての運動ニューロンを治療できるわけではなく、その後疾患が進行する可能性があることが分かってきました。RESPOND試験は、ゾルゲンスマの治療を受けた後も臨床上のアウトカムが期待に満たなかった一部のSMA患者に残るアンメットニーズの特徴を明らかにしようとしています。今回の暫定結果は、ゾルゲンスマの後のスピンラザ治療を評価する初の臨床試験データをSMAコミュニティに提供し、スピンラザ治療のさらなるベネフィットの可能性を示唆するものです」。
スピンラザの実臨床での効果を評価する新たな解析
乳幼児期発症のSMAに対するスピンラザの実臨床における効果を評価する、体系的文献レビューとメタ解析の結果が発表され、スピンラザの治療ベネフィットを包括的に理解するための実臨床でのエビデンス創出の重要性が明らかになりました。実臨床下での試験で観察された運動機能の改善と運動マイルストーンは、臨床試験の結果を上回るまたは同等のもので、スピンラザ治療が長く継続するに従い患者さんは引き続き改善を示しました。
治療経験改善を目指す新規デバイスの進捗
バイオジェンはAlcyone Therapeutics社と共同でアンチセンスオリゴヌクレオチド治療薬の継続的な皮下投与を可能にするための初の埋め込み型デバイスを開発しています。今週、Alcyone社は米国食品医薬品局がThecaFlex DRx™ システム(ThecaFlex)のピボタル試験を開始するための「治験用医療機器に対する適用免除」を承認したことを発表しました。Alcyone社は今夏、SMA患者さんにスピンラザを投与するためのThecaFlex の安全性と性能を評価するPIERRE試験(clinicaltrials.gov)の最初の組み入れを開始する予定です。
スピンラザ® (ヌシネルセン)について
スピンラザは脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳幼児、小児および成人の治療薬として世界60カ国以上で承認されています。SMAの基盤となる治療として、全世界で14,000人以上がスピンラザの治療を受けています1。
スピンラザは体内で生成される完全長Survival Motor Neuron (SMN)タンパクの量を継続的に増やすことで、SMAの根本原因を標的にするアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASO)です。2 SMAの発症部位に到達できるよう、スピンラザは中枢神経系に直接投与されます。2
スピンラザは最長8年間3治療を受けた参加者データと、他に類のないリアルワールドの経験に基づき、十分に確立された安全性プロファイルを有し、様々な年齢や異なるタイプのSMAに持続した有効性を示してきました。ヌシネルセンの臨床開発プログラムには、2つの無作為化対照試験(ENDEAR試験およびCHERISH試験)を含む、幅広い患者集団にわたる460人以上の参加者を組み入れた10本以上の臨床試験があります。SHINE試験およびNURTURE試験のオープンラベル延長試験はスピンラザの長期的な影響を評価しています。臨床試験で最も多く観察された有害事象は、呼吸器感染症、発熱、便秘、頭痛、嘔吐、腰痛でした。いくつかのASO薬投与後に腎毒性や急性で重篤な血小板数減少を含む血液凝固異常が観察されていますが、それらは臨床検査によりモニターすることができます。
バイオジェンは、スピンラザを開発・製造・製品化するためのグローバルな権利を、アイオニス・ファーマシューティカルズ社(ナスダック略号:IONS)から供与されています。米国内のスピンラザに関する安全性情報や処方情報の詳細は、それぞれ Important Safety Information および full Prescribing Information をご参照いただくか、各国の製品ウェブサイトをご参照ください(日本での情報はこちらから)。
バイオジェンについて
1978年に設立されたバイオジェンは、多発性硬化症の広範なポートフォリオを有し、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する二つの治療薬を共同開発するなど、数多くの革新的なイノベーションを生み出したグローバル・バイオテクノロジー企業です。バイオジェンは神経、神経精神、特定の免疫、希少疾患といった領域において画期的な治療となりうるパイプラインを進展させ、サイエンスを通じて人々に貢献するという理念を厳格に追求し、人々がより健康的に、持続可能で平等に生きていける世界となるよう取り組んでいます。
バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。
- Based on commercial patients, early access patients, and clinical trial participants through December 31, 2022.
- SPINRAZA U.S. Prescribing Information. Available at: https://www.spinraza.com/content/dam/commercial/specialty/spinraza/caregiver/en_us/pdf/spinraza-prescribing-information.pdf. Accessed: June 2023.
- Core Data sheet, Version 13, October 2021. SPINRAZA. Biogen Inc, Cambridge, MA.