本資料は、米バイオジェン社が 2018年12月6日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語訳として発表させていただくものです。よって必ずしも日本の状況を反映したものでないことをご了承ください。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

バイオジェンがIONIS社との契約でBIIB067のオプション権を行使

ポジティブな第I相試験結果に基づき、家族性の筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬として開発・製品化を推進

  • ポジティブな中間解析結果により、BIIB067の生物学的および概念的実証を達成
  • バイオジェンはBIIB067を承認申請に向けた臨床試験(ピボタルスタディ)に進める計画
  • バイオジェンはIONIS社に3,500万ドルの前払い一時金を支払った。今後、マイルストーンとロイヤルティも支払う可能性がある

米マサチューセッツ州ケンブリッジおよび米カリフォルニア州カールスバッド発、2018年12月6日-バイオジェン(NASDAQ略号BIIB)とIONIS Pharmaceuticals(アイオニス・ファーマシューティカルズ、以下IONIS社)(NASDAQ略号IONS)は、6日、バイオジェンが保有するオプション権を行使して、IONIS社から、BIIB067(IONIS-SOD1RX)の開発・製品化を推進するための、ロイヤルティを伴う世界的な独占的ライセンスを取得することを発表しました。BIIB067は、スーパーオキシドディスムターゼ1(SOD1)の変異を伴う筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬候補の一つです。SOD1の変異を伴うALSは、家族性ALSのサブタイプと呼ばれる疾患であり、ALS全体の約2%を占めています。

バイオジェンの研究開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるマイケル・エーラーズ(Michael Ehlers, M.D., Ph.D.)は次のように述べています。「バイオジェンとIONIS社は、大きなアンメットメディカルニーズがある重篤な神経学的疾患の患者さんに治療法をお届けするという共通の目標を有しています。BIIB067がこれまでに臨床プログラムで達成してきたことは、ポジティブな進歩であると考えています。私たちは、SOD1の変異を伴うALS患者さんのための治療法の開発にコミットしています。現在はそれら患者さんには、治療選択肢が限られているか、まったく存在しない状況であるからです」。

オプション権を行使するという決定は、無作為化・プラセボ対照・単一および複数の用量漸増の第I相試験の中間解析(n=70)でのポジティブな結果に基づくもので、す。本試験では、BIIB067の生物学的・概念的実証が達成されています。最大用量のBIIB067を3カ月投与された治療群(n=10)において、脳脊髄液中のSOD1タンパク値の統計学的に有意な低下(p=0.002)、およびALS機能評価スケール改訂版で評価した臨床的機能低下を緩慢化させる数値的な傾向が認められました。比較対象はいずれもプラセボ群です(n=12)。この解析における安全性と忍容性のプロファイルは、ALSにおけるBIIB067の開発を続行することを支持しています。これらの結果に基づき、バイオジェンはBIIB067を承認申請に向けた臨床試験(ピボタルスタディ)に進める予定です。

IONIS社の研究担当上級副社長であり、同社の神経学プログラムのフランチャイズリーダーであるC.フランク・ベネット(C. Frank Bennett, Ph.D.)は次のように述べています。「この試験の結果は、非常に深刻な疾患であるSOD1 ALSの患者さんに希望をもたらすものです。BIIB067はこの家族性ALSの既知の原因を標的とする初の治験薬です。私たちとバイオジェンとの幅広い戦略的提携は、スピンラザの製品化のみならず、それ以外に6つの医薬品の開発および数々の前臨床プログラムや研究プログラムを前進させています。当社独自のアンチセンス技術は、現在から将来にわたって患者さんに継続してベネフィットをもたらすと信じています」。

このオプション権を行使する一環として、バイオジェンは、IONIS社に3,500万ドルの前払い一時金を支払いましたが、今後は最大5,500万ドルのライセンシング後のマイルストーンを支払う可能性があります。また、年間世界純売上に基づき、10%台前半から半ばまでのロイヤルティも支払う可能性があります。バイオジェンは、このオプション権の行使後は、BIIB067の開発、製造、製品化に関連するコストと経費はバイオジェンが単独で責任を負います。

ALSは希少で致命的な神経変性疾患であり、随意筋の運動をコントロールする脳と脊髄における運動ニューロンの喪失を特徴とします。症状は運動ニューロン不全の部位によって異なり、筋肉のこわばりや痙縮、または随意筋の痙縮とそれに続く萎縮なども含まれます。ALSの患者さんの平均余命は診断時から5年未満です。複数の遺伝子の変異がALSの原因とされています。これには、SOD1遺伝子の変異も含まれます。

本第I相試験の最終データは、今後開催される学会等で発表予定です。

BIIB067について
BIIB067はSOD1メッセンジャーリボ核酸(mRNA)をリボヌクレアーゼHを介して阻害するアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASO)であり、SOD1変異のあるALSの治療薬として開発が進められています。BIIB067はSOD1 mRNAに結合し、リボヌクレアーゼHによる分解を起こさせてたんぱく質の産生を減少します。これが変異型SOD1の毒性を減じ、SOD1変異のあるALSの患者さんに、生存率と機能の改善を通じて潜在的な治療的ベネフィットをもたらすと考えられています。BIIB067は、第I相中間解析において、生物学的・概念的実証を行いました。バイオジェンは、BIIB067をIONIS社から、共同開発とライセンスに関する合意のもとで導入しました。

バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートと フィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、SMAの唯一の治療薬を製品化しました。また、アルツハイマー病、神経免疫疾患、運動性疾患、神経筋障害、痛み、眼科、神経精神医学といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。生物製剤の高い技術力を活かし、バイオジェンは高品質のバイオシミラーの製造と製品化にも注力しています。
当社に関する情報については、www.biogen.com およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

IONIS(アイオニス)社について
IONIS社はRNAを標的とした医薬品の研究開発のリーディングカンパニーであり、効果的に、広範に適応できる独自のアンチセンス技術基盤を構築し、治療選択肢がない疾患に対して治療法を提供できる可能性を有しています。同社の医薬品探索基盤は、実現の可能性に向けて大きく飛躍を促す役割を果たし、例えば、アンメットニーズが大きい脊髄性筋萎縮症(SMA)の小児ならびに成人患者さんの希望を実現してきました。同社が創薬したスピンラザ®(一般名:ヌシネルセン)は、SMAに対する初めてで唯一の疾患修飾薬であり、SMAコミュニティに新たな希望をもたらしました。同社の40候補製品を擁するパイプラインで治療の可能性がある、心疾患、希少疾患、神経疾患、感染症やがんといった、まだ同社が治療薬を届けることができていないすべての患者さんに目標を設定しています。同社が創薬したEGSEDITM (inotersen)は成人の遺伝性ATTRアミロイドーシスによる多発性ニューロパチーに対する世界初のRNAを標的とした治療薬であり、同社と共同開発を行った同社の子会社で重篤な脂質異常による心血管代謝疾患を治療する医薬品の開発を行っているAkcea Therapeutics社が製品化を行います。

IONIS社に関する情報は以下をご覧ください。  https://www.ionispharma.com/

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